面白い本を探す

真造圭伍「ひらやすみ」の感想です。

真造圭伍「ひらやすみ」☆☆☆

ひらやすみ

山形から役者になることを目指して上京してきた青年・生田ヒロトは29歳、自分には向いていないと役者になることをあっさりと諦めて、今は釣り堀でのんびりと働くフリーターをしている。

人が良いヒロトはひょんな事から近所の少し偏屈なおばあちゃん・和田はなえと親しくなり、彼女が突然亡くなったことから一戸建ての平屋を遺産として譲り受けることになった。

そんなヒロトの元に美大に合格した18歳の従姉妹・なつみがやって来て、同居生活が始まることになる。


忙しなくゆとりがない日々をおくる人々に向けた癒やし系の物語が展開されるふわっとした印象のコミックです。

深刻な悩みを抱えた人が登場するわけではないけど、毎日を真面目に生きているからこそ溜まってしまうストレスや、周りに上手に溶け込めない不器用な性格で居場所が見つからない人などが、独特のマイペースで生きていくヒロトに接することで、どこか救われるような気分が心地良いです。

他人と競争するような事が嫌いなヒロトは、肩の力を抜いて普通に生きているだけなんだけど、そういう自然体な姿勢が周囲の人の鬱屈した心をとき解いて行くようです。

最初にパッと見た感じ、あまり好みの絵柄ではなかったのですが、こういうタッチのマンガの方がこういう素朴なスタイルの話には合っているようで、とても気に入りました。