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カレン・ローズ「誰にも聞こえない」の感想です。

カレン・ローズ「誰にも聞こえない」☆☆☆

誰にも聞こえない

フィラデルフィア郊外の人里はなれた野原の中から女性の他殺体が偶然発見された。

現場に出向いた殺人課の刑事ヴィート・チコッテリが調べると、雪に埋もれた広大な土地には他にも死体が埋められているような気配があり遺体の捜索をしたい。

ヴィートは検視官の知り合いの考古学者ソフィ・ジョハンセンに、遺跡発掘に使用する地中探索用の装置を使って、現場周辺の地中の状態を調べるように依頼する。

その探索の結果、地中からは凄まじい拷問を受けた形跡のある複数の死体が発見された。

ヴィートはショックを受けたソフィを大学まで送るが、この日はヴィートにとって亡くなった恋人を弔う特別な日だった。

恋人を亡くしたあの日以来、ヴィートは女性と付き合えなくなっていたが、ソフィの美貌と話し方に今までの女性とは違うものを感じてソフィに興味を抱く。

一方ソフィは尊敬していた既婚の考古学者に裏切られた経験から男性不信に陥っていたが、何故かヴィートには強く惹かれるものを感じていた。

お互いに新しい一歩を踏み出したい二人は、協力して猟奇殺人事件の捜査に乗り出すが、狂気にとらわれた連続殺人犯は更に犠牲者を生み出していた。


本格ミステリィと言うにはムリが多い内容だし、犯人は思った通りの人物でしたし、ミステリィとしては底が浅い気がしますけど、ラブ・サスペンスとして読むとなかなか面白い作品だと思います。

精神を病んだ人物が犯す猟奇殺人は展開に難は感じるけど不気味だし、主人公が犯人に狙われていく様子は良く出来ていると思います。

ミステリィが好きな人にとっては物足りないし、ロマンチックな物語を楽しみたいという人には今ひとつかも知れませんけど、カレン・ローズ作品らしくミステリィとロマンスのバランスが取れていて、管理人はなかなか楽しめました。