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丸山くがね「オーバーロード」の感想です。

丸山くがね「オーバーロード」☆☆☆

オーバーロード

近未来の日本、ブラック企業に務める普通のサラリーマン鈴木悟は、2126年にサービスが始まったネットワーク・オンラインゲーム「ユグドラシル」で遊ぶのが唯一の楽しみだった。

かなり自由度の高いDMMORPG「ユグドラシル」で、最強ギルドの一つ「アインズ・ウール・ゴウン」のギルド長でアンデッド(不死者)の大魔法使いモモンガとして、仲間たちと楽しくプレイしてきたが、41名いた「アインズ・ウール・ゴウン」のメンバーたちは徐々にゲームから抜け37名が引退し、また一時は大人気を博した「ユグドラシル」もついにサービス終了の時を迎えることとなった。

サービス終了の日、モモンガは一人でギルドの本拠地「ナザリック地下大墳墓」で「ユグドラシル」終了のカウントダウンを聞きながら最後の瞬間を待っていた。

しかしサービス終了時刻を過ぎても強制ログアウトは起こらず、「ユグドラシル」運営チームに連絡するGMコールも出来なくなり、更にはプレイヤーの指示で動くはずのNPC(ノンプレイキャラクター)たちが、自らの意思を持つ生きた存在としてモモンガに語りかけてくる。

モモンガは「ナザリック地下大墳墓」ごと、「ユグドラシル」と似てはいるが異なる世界に転移している事に気がつく。


ラノベやコミックでよくある異世界転移もののダーク・ファンタジィです。

主人公は自分がプレイしているアバターのまま異世界に転移し、ギルド・メンバーが創造した本来は意思など持たないNPCとともに、世界征服の道に乗り出していきます。

実はAMAZON Prime Videoでアニメを観て面白かったので、原作本を読み出したのですが、アニメでは分かりづらかったことが原作を読んで納得できました。

元々は投稿サイトで始まったWEB小説で、管理人も書籍版を読んでから「小説家になろう」に連載されていたWEB版を読みましたが、お金を取るだけあって書籍版の方がしっかりと描かれている感じがします。何と言ってもWEB版に主要キャラの一人アルベドが登場しないのには驚きました。

単純に異世界でスーパーマンのような活躍をするというよりも、天涯孤独な青年が仲間たちと一緒に作り上げた「アインズ・ウール・ゴウン」とNPCを守ろうとする気持ちが描かれた作品なんだろうと思います。

それにしても桁外れに強大な力を持ちながら、同じように「ユグドラシル」から転移してきたプレイヤーの影を気にするような小心者が、至高の存在として君臨しているギャップなどが面白いですね。

ゲーム世界のようにアンデッド化して死の支配者となり、多くの人間が死んでいくことに良心の呵責など覚えなくなっている極悪キャラクターが主人公ですが、久しぶりに一気読みしたファンタジィです。