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東野圭吾「虚像の道化師」の感想です。

東野圭吾「虚像の道化師」☆☆

虚像の道化師

「ガリレオシリーズ」第7作目の短編集です。

管理人が読んだのは4編の短編を収録した単行本でしたが、文庫化に際して、第8作目の単行本「禁断の魔術」から「猛射(う)つ」を除いた3つの短編を加えて「虚像の道化師」として出ていますから、単行本と文庫本の収録作が違っています。

なお文庫本の「禁断の魔術」は、単行本の「禁断の魔術」に収録された中編の「猛射(う)つ」に加筆して長編化したオリジナル版らしい。

なかなか複雑な事をしますね。


「幻惑す(まどわす)」は新興宗教の道場から幹部信者の男性が転落死した事件の謎を、湯川が解き明かす話。珍しくこういう事かなと思った通りのオチでした。

「心聴る(きこえる)」は、心を乱す奇妙な音が突然聴こえるようになったOLから始まる話。捜査一課の刑事・草薙の警察学校の同期の所轄の刑事が登場しますが、草薙がインフルに罹って行った病院で事件に遭遇するなど、偶然の出会いが多少気になります。

「偽装う(よそおう)」は、湯川と草薙が大学の同級生の披露宴に出席した所で発生した殺人事件に巻き込まれる話で、短編として良くまとまっていたと思います。

「演技る(えんじる)」は、劇団の演出家の男性が刺殺された事件を巡る物語で、倒叙形式で描かれた事件が反転するという東野圭吾らしいトリックが見事でした。


定番のミステリィ・シリーズらしい安定感を感じましたが、読んでビックリするような事は特になかったですね。