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東野圭吾「聖女の救済」の感想です。

東野圭吾「聖女の救済」☆☆☆

聖女の救済

IT企業を経営する真柴義孝とパッチワーク作家の綾音夫妻は結婚して1年、結婚前に取り決めた通り1年で子供ができなかったことを理由に、義孝は綾音に離婚することを伝え、綾音もそれを了承する。

しかし義孝の事を心から愛する綾音は、義孝に対して心のなかで死の宣告をしていた。

真柴家で開かれた友人とのホームパーティーの席上で、綾音は明日から北海道の実家にしばらく帰ると話し、翌日綾音のパッチワーク教室を手伝っている弟子の若山宏美に家の鍵を預けて北海道に旅立つ。

義孝は綾音の留守中に愛人である若山宏美とディナーの約束をするが、その晩義孝と連絡が取れなかったため真柴宅を訪れた若山宏美は、リビングルームで死体となった義孝を発見する。

義孝の死因は彼が飲んでいたコーヒーに入っていた亜ヒ酸による毒殺。

しかし誰がどのようにして毒を入れたのか。

刑事の内海薫は綾音の犯行を疑うが、薫の上司である草薙は綾音に惹かれている事もあって、明確な証拠のない薫の意見に反発する。

毒殺トリックの謎を解くため、薫は草薙には相談なくガリレオこと物理学者の湯川学に協力を依頼するが・・・。


探偵ガリレオ・シリーズの5作目となるミステリィです。

倒叙形式のミステリィで、犯人は綾音だと分かっているのですけど、彼女がどのようにして犯行に及んだのか、そのトリックについて探る物語になっています。

今回の事件では草薙が犯人の女性を崇めてしまい、綾音のような女性にはこんな事件は起こせないと予断を持っているように描かれ、そのことに違和感を抱く内藤が湯川学に独断で協力要請するという展開になります。

綾音のトリックを見破った湯川が、この事件は完全犯罪だと言いますが、それを打開するのは・・・という訳で、不可能犯罪を構成するための条件が緻密に計算され描かれていて、流石に東野圭吾は上手ですね。

どうも読み出すと止まらないミステリィで、とても面白かったです。