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東野圭吾「真夏の方程式」の感想です。

東野圭吾「真夏の方程式」☆☆☆

真夏の方程式

ブティックを経営する両親が多忙になったため、夏休みを伯母一家が経営する旅館で過ごすことになった小学5年生の柄崎恭平は、一人で電車を乗り継いで伯母のいる玻璃ヶ浦に向かうが、その一人旅の途中に雑誌を読んでいた湯川学と出会う。

物理学者の湯川は、玻璃ヶ浦の沖合で発見された海底鉱物資源の開発についての説明会に専門家として出席するところで、本来は開発機構が用意したホテルに宿泊する予定だったが、気まぐれを起こして恭平の伯母の旅館・緑岩荘に宿泊することを決めた。

美しい海以外には何もない玻璃ヶ浦は寂れた観光地となっていて、緑岩荘の宿泊客も湯川と塚原正次という老人の二人だけだった。

湯川が居酒屋に出かけ、恭平は伯父と庭で花火をしたその夜、塚原が緑岩荘から姿を消し、そして翌朝堤防の下で死体となって発見される。

当初は転落事故死として処理されるところだったが、塚原が警視庁の元刑事で、生前の彼にはお世話になったと警視庁捜査一課の管理官が玻璃ヶ浦を訪れたことから、事件は意外な方向に進んでいく。


物理学者・湯川学が独特の推理力を発揮する「探偵ガリレオ」シリーズ第6作目のミステリィ小説です。

流石に東野圭吾は達者で、読み始めると止まらなくなりました。

変人・湯川学とどこか斜に構えている小学生・柄崎恭平との関係や、玻璃ヶ浦と東京で始まる捜査の行方、緑岩荘の主人夫婦と環境保護に熱心な一人娘の活動、塚原が玻璃ヶ浦を訪れた謎など、興味が尽きない。

とても面白く読めましたが、しかしトリックらしいトリックはないし、殺人の動機も正直言って希薄だと思うし、こういう事かな?と考えていたことは概ねその通りだったし、「容疑者Xの献身」を読んだ時のような驚きや感動は感じませんでした。

一応の結末を迎えますが、こういう終わり方が好きではない人もいそうですね。

管理人は嫌いじゃないですけどね。