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東野圭吾「麒麟の翼」の感想です。

東野圭吾「麒麟の翼」☆☆☆

麒麟の翼

東京・日本橋の橋の中央、ちょうど麒麟の像がある辺りで胸を刺された初老の男性が息絶えた。男性はフラフラとよろめきながら、助けを求めるでもなく橋のふもとの交番近くを通り過ぎて倒れたという。

緊急配備が敷かれて間もなく、人形町の公園で職務質問から逃れた青年がトラックに轢かれるという事件が発生する。

青年は日本橋で刺殺された男性・青柳武明の免許証が入った財布を所持していた。

しかし単純な強盗事件だと思われた事件は、青年が青柳が製造本部長を務める金属加工会社で派遣切りにあった事から、別の様相を示していく。


警視庁日本橋署の刑事・加賀恭一郎を主人公にしたミステリィ・シリーズ9作目の作品です。

単純な強盗殺人事件かと思われた事件が、派遣切りという社会性の強い事件に変わって行ったり、家族間の断絶や仕事一筋だと思われた父親の生き様や子供に対する思いなどを描いていて、結末もわかりやすいし、流石に東野圭吾は上手いなと思いました。

探偵役の加賀恭一郎が、快刀乱麻の推理力を発揮するというよりも、小さな疑問を一つ一つ地道に解いていき、最後に真実にたどり着くという展開が良いですね。