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東野圭吾「疾風ロンド」の感想です。

東野圭吾「疾風ロンド」☆☆

疾風ロンド

感染症の研究を行っている泰鵬大学医科学研究所から、炭疽菌を使った生物兵器「K-55」が盗み出された。

「K-55」は研究員の葛原が研究所の施設を使って許可なく創り出したもので、外部に漏れたりしたら大変な惨事を引き起こす。

葛原はその事実が判明した時に学部長の東郷に解雇されたが、それを不服として研究所から「K-55」を盗み出し、雪山に隠した上で、隠し場所を教える代償として3億円を東郷に要求してきた。

東郷には3億もの金は用意出来ないし、「K-55」の存在を明るみにする訳にもいかない。何としても葛原とコンタクトを取って、「K-55」を取り戻す算段をしなくてはならない。

しかし葛原の居場所を調べようとした矢先に、葛原が交通事故死した事が判明する。

東郷からの命を受けた主任研究員の栗林は、葛原が残した数枚の写真を手掛かりに「K-55」の隠し場所を探すことになるのだが・・・。


「K-55」が隠されたと思しきスキー場に向かう栗林と中学生の息子・秀人、秀人がスキー場で知り合うスキー教室に参加している地元の中学生たち、ゲレンデ・パトロールの根津、スノーボード選手の千晶、密かに「K-55」を奪おうと企む姉弟などが繰り広げるドタバタ喜劇です。

万が一飛散するような事があれば大惨事を招く生物兵器を探す割には、全く危機感がない学部長の東郷や、東郷の指令に唯々諾々と従う栗林が既に現実離れしています。

設定はサスペンスですが、内容はただのドタバタ喜劇で、スピーディーな物語ではあるものの、読んだ後に残るものもなく、少々残念な作品でした。