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ジェイン・アン・クレンツ「夢見の旅人」の感想です。

ジェイン・アン・クレンツ「夢見の旅人」☆☆☆

夢見の旅人

現実で目に見えているよりも更に物事を明晰に見ることが出来る明晰夢。この明晰夢を見る事が出来る人間はとても限られているが、更にその夢を分析する事が出来る専門家はイザベルただ一人だった。

ところがイザベルが勤めるベルヴェデーレ睡眠研究センターの変人所長マーティンが急死し、父親と仲たがいしていた息子ランドルフはイザベルを解雇する。

研究センターを通してイザベルに明晰夢の分析を依頼していたエリスは、分析による繋がりからイザベルに興味を持っていたが、同じくイザベルに夢分析を依頼していた組織からの依頼を受けて、夢分析の仕事を紹介するスカウトとしてイザベルの前に現れる。

一度はエリスからのオファーを断ったイザベルだったが、研究センターのかつての同僚が不可解な死を遂げたことを知ると、エリスとともに事件究明に乗り出すことに・・・。


クレンツのロマンチック・サスペンスは好きです。この作品も明晰夢なんていう小道具が面白いですね。

クレンツ作品は主人公の女性の造形が楽しい。みんな根は優しいけど気が短くて、一本スジが通っていて、頑固だけど誰にも好かれるような性格の女性で少し変わり者。

この作品の主人公イザベルも、そんな感じの女性です。

そういう一本気な女性が、どこか影があるというか世間を斜めに見ているような男性に惹かれて、自分も相手も変わって行くという、この手のロマンチック小説の王道を行くようなロマンス小説で、どんなふうに展開していくのかは何となく見当がつきますけど、それでも楽しめる作品です。