ジェイン・アン・クレンツ「鏡のラビリンス」☆☆☆
友人で尚且つ腹違いの姉妹でもあるメレディスが事故死したとの知らせを受け、図書館司書のレオノーラは遺品を引き取りにメレディスのアパートに向かう。
ところがメレディスの部屋の前で待ち受けていたトーマスという男性からメレディスに大金を騙し取られたと告げられ動転してしまう。
それは美人で気まぐれで浮気性の女詐欺師メレディスがやりそうな事だったが、メレディスとは正反対で生真面目な気質のレオノーラには直接関係のない事。
しかしトーマスの真の目的は、騙し取られた大金を取り戻す事ではなく、メレディスが殺されたのではないか調べる事だった。
脅迫めいた口調で調査を手伝って欲しいと頼むトーマスを歯牙にもかけず自宅に戻ったレオノーラだったが、ある日彼女の元にメレディスから1通のメールが届く。
「これを読んでるってことは、私は死んだってことね」
死者から届いたメールを読んだレオノーラは、メレディスが事故で死んだわけではないことを悟り、トーマスと協力して事件の真相究明に乗り出す事にするが・・・。
霧が立ち込める小さな町の大学内にあるアンティークなミラーに囲まれた図書館が事件の主な舞台。
何やら不穏な空気が漂う設定ですけど、ジェイン・アン・クレンツ作品らしく、ちょっと変わり者だけど明るい女性と、厳しい風貌だけどヒロインに一目惚れする心優しい男性が登場して、ユーモラスでミステリアスな物語が展開していきます。
こういうロマンチック・ミステリィの例に洩れず、出会ったばかりの男女が一目で惹かれあって、お互いの磁力に引き寄せられるみたいに一緒に行動して、協力して事件の真相解明に挑む物語です。
あっさりと殺された美人詐欺師メレディスが、作品中には殆ど登場しないにも関わらず妙に存在感があって魅力的です。
全体的に無理がなく素直に楽しめるロマンチック・ミステリィで、管理人はこういう作品が好きです。