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ジョン・スコルジー「老人と宇宙(そら)」の感想です。

ジョン・スコルジー「老人と宇宙(そら)」☆☆☆

老人と宇宙(そら)

75歳の誕生日を迎えた日、ジョン・ペリーは人類と対峙するエイリアンと戦うためにコロニー防衛軍に入隊した。

人生をともに歩んで来た愛する妻は既に亡くなり、このまま一人で老いていくよりも地球と人類を守るために戦いたい。

同じような気持ちで入隊した老人たちとともに若返り手術を受け、戦士としての訓練を受けたジョンは、戦地に赴くが・・・。


75歳の老人兵士の軍隊生活とエイリアンとの戦闘を描いた、2006年のアスタウンディング新人賞受賞の冒険SF小説です。

お年寄りを主人公にした新しい「宇宙の戦士」だという謳い文句に惹かれて読みましたが、確かにハインラインへのリスペクトをどことなく感じました。

75歳の老人が主人公の宇宙戦争物というには、物語が始まってすぐに皆さん若返り手術を受けてしまうので、年寄りが頑張るSF作品という感じはあまりしません。

人生経験が豊富な人たちが宇宙に出て敵のエイリアンと戦う戦闘物という方が近いです。

若者は地球に残して、オーバーホールした老人たちをエイリアンとの戦争に繰り出すという発想は、案外と理にかなっているような気もしますが、二度と地球の土を踏めないという誓約を交わすというのは、穏便な除隊がなさそうで、けっこう厳しいですね。

妻を亡くして地球にいてもやることがないと感じていた主人公ジョン・ペリーですが、宇宙基地で亡くなった妻の若かりし頃にそっくりの、謎の隠密部隊の女性士官と出会う場面から、おや?といった感じで興味を惹かれます。

ユニークな発想の冒険SF小説で、面白かったですね。