ジョン・スコルジー「アンドロイドの夢の羊」☆☆☆
宇宙に進出した人類は銀河連盟の仲間入りをしたがその地位は極めて低かった。
同盟国の横暴なエイリアン・ニドゥ族の怒りを買わないように平身低頭しているが、人類の中にはそれが気に入らない反ニドゥ族・グループも存在している。
そうした中でニドゥ族との交易会議が開かれ、隠れニドゥ族派の代表者がニドゥ族大使を憤死させるという事件が勃発する。
厳然たるカースト制度でプライドの高いニドゥ族は地球を恫喝し、和平の条件として極めて希少な種類の羊「アンドロイドの夢」を一週間以内に差し出すよう求めてくる。
ところが、この羊は反ニドゥ派の陰謀で滅亡状態にあり、どうしても羊を探しだす必要がある地球政府は、退役した兵士で今は国務省の役人をしているハリー・クリークに事件の真相解明と羊の捜索を依頼した。
基本はとんでもない与太話ですが、ハリーとハリーが作り上げたハリーの死んだ親友の人格を持つコンピューター・プログラム「ブライアン」の八面六臂の大活躍が実に楽しい冒険SF小説です。
タイトルはP.K.ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」をもじっていますが、特に関連性は感じません。
どちらかと言えばスコルジーの代表作「老人と宇宙」がそうであるように、ハインラインに近い感じがします。
エイリアンのニドゥ族の描写や銀河列強的な登場しないエイリアンたちが、知性化戦争を何となく連想させますね。
強大(とは言っても銀河の中では下から数えたほうが早い)なニドゥ族の無体な要求にも、腹を立てながらも対応する地球人。
ラストシーンはなかなか爽快な結末で面白いですね。