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ジョン・ハート「川は静かに流れ」の感想です。

ジョン・ハート「川は静かに流れ」☆☆☆

川は静かに流れ

アダムは5年ぶりに生まれ故郷に戻った。

ノース・カロライナの広大な農場主の一人息子として生まれ育ったが、優しかった母はアダムが8歳の時に彼の目の前で自殺した。

その後父は再婚し、継母が5歳下の双子を連れて家に入った。

そして5年前に起こった殺人事件で継母はアダムが犯人だと告発し、父は証拠不十分で無罪となったアダムを勘当し、アダムは故郷を捨て、全てを忘れてニューヨークで暮らしていた。

そんなアダムを見つけ出して、帰って来てくれと懇願したのはアダムの親友ダニー。一度はダニーの頼みを断ったものの、ムリに消し去っていた故郷の情景が頭から離れなくなったアダムは、ひっそりと故郷に戻る。

故郷でアダムを迎えたのは、別れた恋人の刑事ロビン、未だに事件の整理がつかないアダムの家族、家族同然のつきあいだった老人とその孫娘だが、アダムを呼び戻した肝心のダニーの消息が分からない。

ダニーを探すうちに、アダムはまた新しい事件に巻き込まれていく。


情感あふれるミステリィです。

トマス・クックの作品を連想しますが、あそこまでは暗くない。

作者自身が書いているように、ミステリィというよりも壊れてしまった家族の物語という感じです。

2008年のエドガー賞受賞作ですが、いかにもアメリカ人好みのミステリィという印象を受けました。

次から次へと殺人事件が起こるような派手な作品では有りませんが、ふとした事がきっかけで人生が狂っていく人間の業のようなものを描いて、管理人は作品に引きこまれてしまいました。