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ジョン・グリシャム「評決のとき」の感想です。

ジョン・グリシャム「評決のとき」☆☆☆

評決のとき

まだ人種偏見が色濃く残る南部の町で、10歳の黒人少女が白人の若者二人に暴行・強姦され、危うく命は取り止めたものの重傷を負った。

その事実を知った少女の父親は、裁判所で犯人を射殺してしまい、町の人々は黒人による白人殺害事件に衝撃を受ける。

父親を弁護するのは若き弁護士ジェイク・ブリガンス。

ジェイクと判事・検事・それに被告の葛藤に加えて、事件が大きく報道された事により全米から町に集まる報道陣とクー・クラックス・クランなどの様々な団体。

そんな状況の中でジェイクは法廷に挑むが・・・。


弁護士出身のベストセラー作家ジョン・グリシャムの処女作になります。

状況が状況なだけに、射殺犯が白人であればおそらく起訴されないであろう、又は起訴されても有罪にはならないと思われている殺人事件が、犯人が黒人であるが故に裁かれ死刑宣告されるかもしれない。

この不条理には何かと考えさせられます。

管理人にも娘がいます。

この小説を読んだ当時はまだ小学生で、作品中で暴行される少女と同じような年齢でした。

管理人がこの父親と同じ立場だったらどうするだろう?

勿論銃は持っていないし手に入れる積もりもないけど、犯人を殺したいと思うでしょうか?

それは許されることなのでしょうか?

しかし管理人はこんな裁判の陪審員にはなりたくないですね。たとえ殺人犯だとしても、この被告に有罪の宣告をしたくない。

もし管理人が弁護士だったとしたら、KKKからの脅迫に対してここまで真剣に戦う覚悟があるか・・・。出来ないような気がします。

もし弁護士をサポートする立場にいたら、信念のために自分の身の危険も顧みずに、この弁護士を助ける事が出来るだろうか?多分出来ないように思います。

この作品に登場する人物たちは概ね平均的なアメリカの市民で、もの凄い英雄はいませんが、それでも社会の不条理に立ち向かう姿勢はスゴイと思います。

色々と考えさせられるリーガル・サスペンスですが、エンターテイメントとしても一級品で、とても面白い作品でした。