面白い本を探す

ジョン・グリシャム「依頼人」の感想です。

ジョン・グリシャム「依頼人」☆☆☆

依頼人

マフィアの秘密を知り抜いた悪徳弁護士が自殺するところに出会った貧しい家庭の11歳の少年マークは、その弁護士から上院議員殺害事件の重要な証拠を聞かされてしまう。

警察はマークから情報を聞き出そうとするが、それを漏らせばマークと家族はマフィアに殺されてしまう。

あてにならない警察や、マークを追うマフィアの手から逃れるために、マークが全財産1ドルで救いを求めたのは、人権派の女性弁護士レジーだった。


ともかく導入部から物語の中へグイグイと引き込まれて行き、最後までダレる事なく面白さが続く作品です。

ともかく読んでみてください、てな事しか人には言えません。

主人公の少年マークのマフィアの影に怯える11歳らしい表情と、ホームアローン風のずる賢さを発揮する活躍との落差がおかしい。

一方でマークを助ける女性弁護士レジーは知的で活動的でさっそうとして、いかにもアメリカ的というかアメリカで人気が有りそうな頼れるタイプに描かれています。

その二人以外の登場人物もそれぞれに深みが有って面白い。

少年の勇気と機転に感動し、それを暖かく見つめ守ろうとする女性弁護士の姿勢にも共感しますが、翻って警察の無力と警察官の無神経さが少々気に障ります。

組織暴力に対抗するには市民一人一人の協力が大切なんでしょうけど、その協力を得るためには暴力組織からの報復に対していかに対処して協力者を守って行くか、その意識が治安を維持する末端にどこまで浸透しているかが大切なんだろうと思います。

まぁ現実にはなかなか難しい問題で、だからこそ、この小説がこれほどの迫力を持てるのでしょう。

グリシャム作品の中でも一二を争う傑作サスペンスだと思います。