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ジュリー・ガーウッド「太陽に魅せられた花嫁」の感想です。

ジュリー・ガーウッド「太陽に魅せられた花嫁」☆☆☆

太陽に魅せられた花嫁

イングランドの地方貴族の末娘ジェイミーは後妻の連れ子だったが、頭が良くて仕切り屋の働き者で、母が亡くなった後も父を始め一族の皆から頼りにされ、財産を管理する事以外の家事全てを取り仕切って女主人のような役割を負っていた。

そんな中、父が税金を滞納してイングランド王の不興を買い、4人の娘の中から一人を選んでスコットランドの領主と結婚させるように命じられる。

父親は役に立つジェイミーを手放す積もりがなく、彼女を花嫁候補の中から除こうと隠していたのだが、調馬頭のビーグは家族のために一人で働くジェイミーの幸せを願って、妻を引き取りに現れたスコットランド領主アレック・キンケイドにジェイミーを推挙してしまう。

美しいジェイミーをひと目見て気に入ったアレックは、野蛮なスコットランド人などと結婚するのはゴメンだと嫌がるジェイミーを、妻としてスコットランドに連れていくことに決める。


思い込みは激しいものの、気が優しくて美人で勝気で勇気ある女性ジェイミーは、初めのうちは屈強な大男アレックとスコットランドに反感を抱いていたものの、アレックを知るにつけ彼の内面の優しさに気がつき、そしてスコットランドの習慣にも馴染んでいく。

イングランド人に反感を持つ周囲のスコットランド人も、領主の妻として懸命なジェイミーにいつしか魅了されていきます。

ジェイミーのおせっかいな態度と人の良さが巻き起こす騒動は、あっけらかんとした明るさに溢れていて、そんなジェイミーに心底惚れていくアレックが可笑しい。

アレックの前妻の死の謎などミステリィ風な要素もありますが、あまり大した謎でもありません。

イングランドの女性からスコットランドの領主アレックの妻として生きていく天然ボケのジェイミーが、アレックと敵対する部族の人たちも含めてみんなをとりこにしていく過程が楽しい、1990年のRITA賞受賞の明るく前向きなヒストリカル・ロマンスです。