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ジェフリー・ディーヴァー 「12番目のカード」の感想です。

ジェフリー・ディーヴァー「12番目のカード」☆☆☆

12番目のカード

ニューヨーク・ハーレムの黒人女子高生ジェニーヴァは、博物館で解放奴隷だった先祖の事を調べているところを何者かに襲われる。

ハーレム暮らしで機転の効くジェニーヴァはからくも難を逃れるが、レイプ道具を残して逃走した犯人は現場に舞い戻り、警察の聴取を受けていた博物館主を射殺した。

この事件はレイプ犯を装ったプロの殺し屋による事件だと判断したニューヨーク市警と、四肢麻痺の元市警科学捜査部長リンカーン・ライムは、いつものメンバーを集めて捜査を開始する。


リンカーン・ライム・シリーズの第6作目となるミステリィです。

今回の物語は、何故普通の女子高生がプロの殺し屋に狙われるのか、という所にポイントを置いて、そこに少女の先祖が関係した140年前の黒人公民権運動にまつわる事件を絡ませて進行していきます。

16歳の女子高生の割には自立心に富み、生真面目に勉学に励んでハーレムから一流の大学に進むキャリア・プランを描いているジェニーヴァが、上から目線で指図をするリンカーン・ライムに一歩も引かない頑固者という辺りが面白い。

それでも狭いハーレムのアパートで気張って生きている彼女の寂しさのようなものが背景に描かれていて、シンプルに展開するミステリィに厚みを与えているように思います。

殺し屋に殺人を依頼した黒幕の存在はありますが、ジェニーヴァを狙う殺し屋の描写もある程度スッキリしていて、犯人が誰だか分からないミステリィとはまた違う味わいがある作品です。

ライム・シリーズには珍しく、謎解きよりも情感のミステリィという印象を受けました。面白かったです。