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ジェフリー・ディーヴァー 「007 白紙委任状」の感想です。

ジェフリー・ディーヴァー「007 白紙委任状」☆☆

007 白紙委任状

イアン・フレミングが生んだスパイ・アクション物の永遠のスーパーヒーロー、英国MI6の秘密諜報員007号ことジェームズ・ボンドを主人公にして、ミステリィの大家ジェフリー・ディーヴァーが書いた新しいアクション・サスペンスです。

大量殺人を企てている謎の人物の計画を阻止するためにセルビアに赴いたジェームズ・ボンドが、一旦は英国に帰国した後、ドバイ・南アフリカと駆けずり回る、極めてスピーディでどんでん返しが続く物語。

危機一髪のきわどい場面が続きすぎて、こんな事では優秀な諜報員とは言えないのではと思いましたが、そんな事を補って余りある展開の速さに思わず引きこまれてしまいます。

また官僚組織特有の縄張り争いや、英国内では通じない「白紙委任状 = 殺しのライセンス?」の問題などが描かれていて、この辺りが今風ですね。

もっとも今の世の中、海外で非合法な事件を起こしたら、直ぐに外交問題に発展しそうですけど・・・。

しかしディーヴァー作品でもそれなりにダンディなボンドですが、フレミングの007にはもっとゆったりとして優雅な印象があります。

現代風な忙しなさとボンドが持つ雰囲気が今ひとつミスマッチな感じで、これならムリにジェームズ・ボンドを主人公にする必要はなかったように思いました。

スパイ・アクション物としては面白い作品でしたが、007という個性を生かしきれたかというと、どうなんでしょうね。