上田秀人「奥右筆秘帳」☆☆☆
第11代将軍・徳川家斉の御代、江戸城の書類決裁に関わり徳川幕府の様々な秘事を知ることも多い役職・奥右筆の組頭を務める立花併右衛門は、12年前に起きた田沼意次の嫡男・田沼意知刃傷事件に疑念を抱く。その帰路に何者かに襲われた併右衛門は、隣家の旗本・柊家の次男で剣を学ぶ衛悟を護衛として雇うことを決める。
将軍家を巡る策謀が渦巻く中で、身分こそ然程高くはないものの、幕府の書類一切に関与する奥右筆組頭として隠れた権力を持つ併右衛門は、複雑な権力闘争の中で生き残る術を探るが・・・。
学問には疎いが剣の腕は立つ純真な若き武士・柊衛悟の成長と、深い学識と世情に通じた老獪な幕府官僚の立花併右衛門が、陰謀を巡らす権力者たちに立ち向かう姿を描いた娯楽時代小説です。
衛悟と衛悟の幼馴染の併右衛門の一人娘・瑞紀とのロマンスを交えながら、奥右筆という立場を巧みに利用して敵に立ち向かう併右衛門を描いています。
敵だと思えば味方になったり、その逆もあったりして、目まぐるしく物語は進んでいきますが、破綻せずにまとめ上げているところは流石です。
とても楽しめました。