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有川浩「旅猫リポート」の感想です。

有川浩「旅猫リポート」☆☆☆

旅猫リポート

クルマに轢かれた野良猫のナナを助けて一緒に暮らし始めた青年・宮脇悟(サトル)は、とある事情から5年間を共に過ごしたナナを手放すことになる。

サトルはナナを引き取って貰えないかと、小学校・中学校・高校で親しかった友人たちを訪れる。

猫のナナからの視点、サトルの友人たちの視点、サトル自身とサトルの叔母の視点から、サトルと両親と友人と、そして少年の頃のサトルが家族だと思っていたナナとそっくりな猫ハチとの絆などを描いたヒューマン・ストーリー。


「僕たちが旅に出る前のこと」「コースケ」「ヨシミネ」「スギとチカコ」「ノリコ」などの各章で、宮脇悟という青年の歩んできた道が示されるような構成になっていて、物語がどこに落ち着いていくのかは途中でなんとなく分かりますけど、それでも少し泣けました。

それ程気負わずに「僕は幸せだ」と言えるサトルの考え方は、なかなか見事なものです。

それにサトルとナナの絆、特にナナの立場から描かれるお互いの関係には、クスッとしながらも感動を覚えます。

特に猫好きには魅力がいっぱいの作品になっているのではないでしょうか。