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有川浩「キケン」の感想です。

有川浩「キケン」☆☆

キケン

成南電気工科大学に入学した1年生が、通称「機研」と呼ばれている優秀だけど変わり者たちが集まっている機械制御研究部に入って奮闘する姿を、卒業したその青年が思い出として妻に語るという形で描かれたユーモラスな青春物語です。

毎日バカげた事や一見危険な実験を繰り返す面々を、愛情を込めて語りながら、もう大人になってしまった青年が懐かしい日々を振り返る。

こういうスタンスの物語は昔から有りましたが、この作品の非現実的なバカ騒ぎの陽気さは何とも言えず明るくて楽しい。

更にそれをリアルタイムではなく、回顧しながら妻となった女性に語り、二人で話し合うといった構成が見事です。

昔話の聞き役になる妻の語り口が楽しげで、そんなバカな事をやっていたの?というような口調でないところが良いですね。

若いころの少年らしいバカらしい行動の一つ一つが輝いて見えるような青春小説です。