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有川浩「三匹のおっさん」の感想です。

有川浩「三匹のおっさん」☆☆☆

三匹のおっさん

建設会社を定年退職し系列のアミューズメントパークに嘱託として再就職した清田清一(キヨ)は、同居している嫁に生徒のいない剣道場を潰して自分に使わせて欲しいと頼まれてしまい、何だかガックリきて馴染みの飲み屋へ向かう。

しかしそこにいた幼馴染の立花重雄(シゲ)、有村則夫(ノリ)と話しているうちに、3人で町内をまわる自警団を作ろうという事になった。


60歳では年寄りとも言えない時代になりましたが、定年退職するような年代のおじさんたちが、昔取った杵柄で、剣道(キヨ)柔道(シゲ)工作(ノリ)の腕を生かしながら、カツアゲや痴漢、悪徳商法などを退治するという、誠にいさましい話です。

この作品は「三匹のおっさん」がタイトルで、主人公は一応還暦を迎えた3人の男性になっていますけど、キヨの孫で今風の若者・祐希とノリの一人娘で毅然とした性格の早苗とのホンワカした純愛が描かれたりして、世代間を超えて楽しめる作品だと思います。

武道の達人とはいかないまでも、昔は町内にこんな雰囲気を持ったかくしゃくとしたお年寄りが居たような気がしますけど、最近の世相ではなかなか難しいモノがありそうです。

扱う題材は現代社会の問題をユーモアを交えて描いていますが、登場人物たちの言動が昭和を感じさせてくれて、管理人はこういう作品が好きです。