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有川浩「シアター!」の感想です。

有川浩「シアター!」☆☆☆

シアター!

堅実な性格で何でも無難にこなす兄の司は、建築会社の優秀な営業マンになり、小さい頃はいじめられっ子だった夢見がちな天才肌の弟・巧は、脚本家・演出家として小劇団「シアターフラッグ」を主宰している春川兄弟。

何かある度に頼り甲斐のある兄・司を頼っていた巧だったが、劇団のこれからの運営方針を巡って路線の対立が起こり、劇団メンバーの多くが抜けた上、劇団の負債額が知らぬ間に300万円に膨らんでいる事が分かって、いよいよ劇団解散の危機が現実のものになってしまった。

必死の思いで司に借金を頼み込んだ巧に対して、司は金を貸す条件として、2年間で借金返済が出来るだけの収益を上げることを「シアターフラッグ」の団員たちに命じた。

劇団運営の対立の火種だった人気声優・羽田千歳が新たに団員として加わって、新生「シアターフラッグ」は立ち上がるが・・・。

こういう小劇団ってお金にならないというのが定説のようですね。

しかし芝居が大好きな人間が集まって、持ち出しまでして公演をしているようです。

そんな貧乏劇団にまつわる話が、こうして物語になると色々な点で興味深いですね。

極めて現実的でしっかり者の春川司は、弟をやくざな演劇の世界から正業に戻そうという意図で金を貸し、会計責任者として仲間に加わるものの、根がフェアな人物ということもあって、本人が真剣に裏方仕事にのめり込んでいくのが面白い。

そんな中で声優として実績のある羽田千歳が劇団に加入して、シビアだけど公平な目で劇団員を見つめている司に惹かれていく様子がほんわかして良いです。

シアター!2では、更に色々と事件が起きて、何やらラブコメ風に展開していきますが、管理人は基本的にこういう話が好きなので面白かったです。

続きが読みたいが・・・。