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デボラ・マクギリヴレイ「ハイランドの霧の魔法」の感想です。

デボラ・マクギリヴレイ「ハイランドの霧の魔法」☆☆

ハイランドの霧の魔法

イングランド王エドワード1世がスコットランドを征服しようとしている13世紀の英国を舞台にしたヒストリカル・ロマンスです。


スコットランドの霧深い神秘の地グレンローガの女城主タムリンは、霧に守られた領地の丘で花を摘んでいた時に、急襲したイングランドの騎士たちに襲われ乱暴されそうになる

しかしイングランド軍の指揮官でブラックドラゴンと称される黒ずくめの騎士ジュリアン・シャロンが突然現れ、タムリンを救ってくれた。

スコットランドで殺戮の限りを尽くしたと伝説になっているブラックドラゴンを目の当たりにして、タムリンは怯えながらもジュリアンに強く惹かれる。

スコットランドの娘をイングランド人から救ったジュリアンは、長く続く狂気に満ちた戦いに疲れ果て、落ち着いた安息の地を求めていて、まだ見ぬグレンローガの女城主を妻に迎えてこの地を自ら統治するつもりでいた。

女城主の身分を隠して敵将のジュリアンに仕えるタムリンだったが、ジュリアンと同じ時間を過ごすうちに彼に惹かれる気持ちが抑えきれず・・・。


序盤は敵であるはずの男に惹かれていく自分を意識するタムリンと、自分の妻になる女とは知らずにタムリンに惹かれていくジュリアンの話ですが、これが二人が妖精の地で結ばれ夫婦となる辺りから、二人の絆を描いていく物語となります。

スコットランドの北部ハイランドにキリスト教が広まる前の物語で、先住していた妖精の血を受け継ぐ一族の継承者となる娘と、勇猛果敢でありながら平和と安住の地を求める騎士のロマンスは、ファンタジックな彩りが他の作品と違った雰囲気を醸し出していました。