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ディーン・R. クーンツ「ミッドナイト」の感想です。

ディーン・R. クーンツ「ミッドナイト」☆☆☆

ミッドナイト

夜更けの海岸をジョギングする女性が、得体の知れぬ獣に襲われる場面から始まるロマンチック・アクションホラーです。


カリフォルニアの小さな町ムーンライト・コーヴで不可解な事件が発生しているとの通報を受けて、FBI捜査官のサム・ブッカーは秘密裏に町に向かっていた。

サムは妻を亡くした後人生に絶望し、ゴールディ・ホーン(アメリカの人気コメディ女優)と美味しいメキシコ料理以外には何も期待するものはないという男で、ティーンの息子は部屋に閉じこもってハードロックを聴き、サムとの交流は途絶えている。

ドキュメンタリー映画作家のジェーン・ロックランドは、ムーンライト・コーヴに住んでいた姉の消息が分からなくなり、そっと調べに来た美しい女性。

実はこの町を牛耳るコンピューター会社の経営者で天才的な頭脳の持ち主シャダックは、町の人々を改造して新しい人類を創造し、自分の思い描く新しい世界を作り上げようとしていた。

警察署長をはじめ、町の主だった重要人物から改造を進めたシャダックだが、新人類たちは不安定で、徐々に自分を制御できなくなって凶暴な獣に変身し、まだ新人類化していない人間を襲うようになっていた。

ホテルに泊まったジェーンは野獣と化したホテル・オーナーたちに襲われ、辛くも逃げ出してコインランドリーに隠れていたところでサムと出会う。

サムとジェーンは、FBIに通報した足の不自由な男性ハリーの元に向かい、そこで新人類化した両親に襲われた少女クリシーと出会い、4人で協力してこの町の状況を通報しようとするのだが・・・。


人生に絶望したサムが、新人類に襲われるという異常な状況の中で、自分よりも不幸な目に遭っていながらも前向きに生きようとするハリーやクリシー、美しく勇気ある女性ジェーンと共に行動している内に、人生に真正面から向きあう勇気を与えられ、巨悪に立ち向かうというアクション・ホラーです。

H・G・ウエルズの「モロー博士の島」に捧げるオマージュという事ですけど、ジャック・フィニィの「盗まれた町」も連想させる作品で、まるでジョーズの様な書き出しからして不気味な雰囲気が感じられます。

クーンツらしい読み始めると止まらないノンストップの冒険小説で、とても面白かった。