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ディーン・クーンツ「汚辱のゲーム」の感想です。

ディーン・クーンツ「汚辱のゲーム」☆☆

汚辱のゲーム

ペンキ屋のダスティと、ゲーム・デザイナーをしているマーティのローズ夫妻に、すさまじい悪意が襲い掛かる。

ハンニバル・レクター博士を思い起こす様な精神を病んだ天才精神科医アーリマン博士に、二人は洗脳されていた。

彼がキーワードを口にすると催眠状態に引き込まれ、自らの意志を失い危険な衝動に襲われる。

果たしてこの悪の権化のような男は、二人に何をさせようとしているのか。


クーンツ作品らしく、出だしから物語をグイグイ進めて読者を引き込んでいきます。

善良な若夫婦に訪れる悪夢、盛り上がっていくサスペンス。

しかしこの上下巻の厚みのある小説はいかにも長い。半分くらいまで読むとダレてしまいます。

この半分くらいの長さでコンパクトにまとめた方が、緊迫感が保たれて面白かったのではないかと思います。

またクーンツ作品に良くあるパターンで、途中まで読み進めると悪役の間抜けさがもうどうしようもない位ひどくなってしまいます。

もっと心底恐ろしい悪人だけど、誰もがその正体に気がつかないくらいの狡猾な人物か、逆に極悪非道な自分を隠さない人物の方がスッキリします。

それにローズ夫婦が洗脳から抜け出すのも簡単すぎる気がする。

まぁ作品中で単純な洗脳とは違っているような書き方はしていますけどね。

ただ最後には正義が勝つハッピー・エンドが分かっているので、そういう点では安心して読めますね。