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ディーン・R. クーンツ「ストレンジ・ハイウェイズ」の感想です。

ディーン・クーンツ「ストレンジ・ハイウェイズ」☆☆☆

ストレンジ・ハイウェイズ

クーンツの短編集「STRANGE HIGHWAYS」を「奇妙な道」「闇へ降りゆく」「嵐の夜」の3冊に分けて翻訳・出版したファンタジィ・ホラー短篇集です。


表題作「奇妙な道」はクーンツらしいさを感じるアクション・ホラー・ファンタジィで短編とは言えない長さがありますけど楽しめます。

「ハロウィーンの訪問者」はハロウィーンに老彫刻家からかぼちゃを買った少年の恐怖を描いたホラーでこちらも面白い作品。

同じく長い作品「チェイス」は「夜の終りに」を改稿した作品で、身勝手な理由で人を殺すストーカーっぽい異常者とベトナム帰りの青年チェイスが対峙するサスペンス。

なかなか粒ぞろいの作品の中で、管理人が一番良かったと思ったのは「嵐の夜」に収録されている、無神論を徹底する男を描いた「黎明」という作品です。

SFともファンタジィとも言いづらい作品ですが、クーンツの宗教に対する姿勢が良く現れているように思います。子供を持つ親として、人生を何とか生きている一人の人間として、この作品には共感できるものがあります。感動してしまいました。

クーンツの短編はなかなか読む機会がありませんが、短編になってもクーンツらしさは変わりませんね。

長編と短編では作風が全然違う作家もいますけど、クーンツはそういうタイプではないみたいです。

明るいSF、暗いホラー、少し感動的な物語等バラエティに富んだ作品を収録した短編集で面白かったです。