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ディーン・クーンツ「サイレント・アイズ」の感想です。

ディーン・クーンツ「サイレント・アイズ」☆☆

サイレント・アイズ

人気のない山の展望台にいるのは愛しあう若夫婦だったが、しかし夫はいきなり妻を突き落として殺した。

とても衝撃的な場面から物語が始まります。

善と悪の対決、ヒーロー・ヒロインのロマンス、独りよがりでおぞましい悪役、スピード感ある展開など、クーンツ作品らしい特徴は健在なのですけど、全体的な印象はホラーやサスペンスというよりもどことなく宗教的な雰囲気を感じさせる人間愛・家族愛を描いた作品のようです。

だからこそ、今回登場する悪役はどこかトンマで思い込みが激しすぎて、しかも孤独で中身がカラッポで、怖いとかおぞましいとか言うよりも、「愛」という主題を際立たせる為の狂言回しのような設定にされています。

ジェットコースター・サスペンスというクーンツ特有の味わいはありますが、どことなく情緒を感じる作品で、クーンツ作品としてはやや異質のような感じを受けましたが、クーンツの作風が変わって来た頃なのかもしれません。

初期のクーンツ作品の雰囲気が好きだという人には合わないかもしれませんが、管理人は楽しめました。