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ディーン・R. クーンツ「フランケンシュタイン」の感想です。

ディーン・クーンツ「フランケンシュタイン」☆☆☆

フランケンシュタイン

メアリー・シェリーの名作怪奇小説「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメセウス」を下敷きにして、フランケンシュタイン博士も彼の作り上げた怪物も生き延びていたという設定で描かれたSF・ファンタジィです。


フランケンシュタインの怪物はデュカリオンと名前を変え、彼自身が持つ凶暴な欲求を抑える術を見出して、チベット奥地の寺で暮らしていた。

そんな彼のもとにある日一通の手紙が届き、彼は自分の邪悪な創造主がヴィクター・ヘリオスと名前を変えて、アメリカでデュカリオンの弟妹とも言える人造人間を作り上げて、世界を人造人間とともに支配する計画を立てていることを知る。

ヴィクター・ヘリオスの野望を阻止するため、アメリカに向かったデュカリオンだが・・・。


そんな感じで展開されるクーンツらしいスピード感のあるアクション・ホラーです。

マッド・サイエンテストや彼が作り出す怪物が暴走を始める物語は「ミッドナイト」にも繋がるテーマで、全5作らしいのですが、一応邦訳されている3作まででそれなりに完結しています。

出だしはまともに機能していた人造人間が徐々に壊れだしていく様などが、なかなか不気味に展開して行きますけど、後半になると緊迫感が薄れて竜頭蛇尾という印象を受けるのがクーンツらしいかな。

自然界の力によって生み出されたデュカリオンには、フランケンシュタイン博士には思いもよらない能力が備わっていたという辺りもとってつけたような気がしますが、全体的には楽しめるシリーズだと思います。

しかし続編が出る気配がないのは、仕方がないかも知れませんね。