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ディーン・R. クーンツ「オッド・トーマス シリーズ」の感想です。

ディーン・クーンツ「オッド・トーマス」シリーズ ☆☆☆

オッド・トーマス

霊感を持つ青年オッド・トーマスの一人称で書かれた落ち着いた雰囲気のあるSFサスペンス・ホラーのシリーズ作品です。

霊感が有ると言っても、死人と口が利ける訳ではなく何か特別な超能力が有るわけでもない青年が、自身の非力に悩みながらも、持って生まれた義務感と正義感から、悪しき者たちと関わらざるを得なくなる話が単純なヒーロー物とは違う景色を生み出しています。


南カルフォルニアの田舎町ピコ・ムンドに住む20歳のコック、オッド・トーマスには死者の霊や不思議なモノが見えるという能力があった。

霊と触れ合ったり会話が出来るわけではないが、霊は何か伝えたいことがあるとオッド・トーマスの前に現れて、仕草で彼に何かを伝えようする。

オッドの能力を知る町の警察署長ワイアット・ポーターは、彼の協力でいくつかの難事件を解決した事があり、霊の導きで悲惨な事件に出会うオッドを支えている。

そしてもう一人オッドの支えになっているのが恋人のストーミーで、二人は将来を約束している。

ある日、オッドは勤務先のレストランで悪霊ボダッハを目にする。

ボダッハは人間の災害を糧にしている悪しきもので、彼らが出現すると不幸な出来事が起きるのだが、レストランにいる男の周囲には今まで見たこともないような数のボダッハが現れていた。

どこか怪しげな男と彼に取り付いている多数のボダッハを見て不吉な予感に囚われたオッドは、男の正体を探るのだが・・・。


シリーズ1作目の「オッド・トーマスの霊感(Odd Thomas)」ですけど、クーンツらしいホラーに独特の情緒とサスペンス・ミステリィを加味して、そして青年の成長が描かれていて、実に良い雰囲気があります。

このシリーズは「オッド・トーマスの受難(Forever Odd)」「オッド・トーマスの救済(Brother Odd)」「オッド・トーマスの予知夢(Odd Hours)」と続きますが、残念ながらこれ以降の作品は邦訳されていません。

何だかモヤモヤする状況で終わっていますし、原書では「Odd Apocalypse」「Deeply Odd」「Saint Odd」と続いていますから、早く続編を翻訳して欲しいと思っていますが、今更難しいのでしょうかね。