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小山宙哉「宇宙兄弟」の感想です。

小山宙哉「宇宙兄弟」☆☆☆

宇宙兄弟

六太(ムッタ)と日々人(ヒビト)の南波兄弟は、六太が12歳の時にUFOを目撃し、以来お互いに宇宙を目指すことを約束した。

大雑把で直情決行型で天才肌の弟日々人は、その誓いを守って一直線に頑張り、ついに2025年に日本人初の月面長期滞在クルーのメンバーに選ばれる。

一方でいつの頃からか宇宙飛行士になるなんて非現実的な夢だと思った兄六太は、夢を諦めて自動車の設計を仕事にしていたが、クセのある嫌味な上司に日々人を悪く言われて逆上し頭突きを喰らわせて会社をクビになる。

六太が失業したことを知った日々人は、JAXAが募集した宇宙飛行士試験を六太が受けるように仕向ける。


読む前に漠然と管理人が思い描いていた、宇宙に憧れる兄弟のいい加減なドタバタ風コメディというのとは随分と違った、笑いがあって夢があって、優しさと感動があって、足が地についた真面目な物語です。

舞台は近未来。ドーハの悲劇の時に誕生した南波六太と3歳年下の弟日々人の兄弟愛、それぞれの抱える問題と絆と目指すところ、そして南波兄弟と同様に宇宙に憧れる人たちの姿などを実に巧みに描いています。

宇宙飛行士になるという点では、賢弟と愚兄のように見られがちですが、弟を追いかける六太も只者ではなく、そういう六太の姿が明らかになっていく物語には夢があります。

几帳面でやや悲観的な性格の六太と大雑把で楽観的な性格の日々人ですが、状況によっては性格が変わったりして、人間の多面的な部分もよく描かれていて、夢物語なのにリアリティを感じさせる作品です。

また主人公の二人だけではなく、作品に登場する多くの人物の背景を、とても丁寧に描いているところも素晴らしい。

良い意味で管理人の予想を裏切った傑作です。このマンガ、本当に面白い。2017年2月の時点で30巻まで出ていますが、ダレることなく話が続き、飽きずに何度も読み返してしまいます。

もうひとつこの作品で好きなところは、紙のコミック発売と同時に電子書籍が出るところ。

管理人はコミックに関しては、紙で買い続けていた作品以外は、極力電子書籍、それもKindleストアで購入しているので、新刊本が直ぐに読める宇宙兄弟は発売されたその日に購入して読んでいます。