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キャサリン・アンダーソン 「あなたに会えたから」の感想です。

キャサリン・アンダーソン「あなたに会えたから」☆☆☆

あなたに会えたから

双子の兄と共同で動物クリニックを経営している獣医アイザイア・コールターは、ある日母親のメアリーから友人の孫娘で失語症の女性ローラ・タウンゼントを雇ってくれないかと頼まれた。

体の不自由な人が忙しいクリニックに勤めるのは無理だと一度は断るアイザイアだが、せめて面接だけでもして欲しいと言うメアリーの頼みを断りきれず、面接することに同意する。

面接当日に緊急手術が入ったアイザイアが手術を終えて部屋に戻ると、そこには2時間以上も彼を待っていた若く美しい女性ローラがいた。

5年前に起きた事故が元で失語症になったローラは、事故に会う前は環境科学者として活躍していた優秀な女性だったが、今は簡単なアルバイトをして生計を立てている。

アイザイアはローラと話すうちに、彼女の毅然とした自立心と動物に対する愛情に心を打たれ、まずは試験的に雇うことを決める。

失語症のために難しい言葉が発音出来ずゆっくりと会話をするが、きつい仕事も厭わずに行い、動物をこよなく愛すローラは、いつの間にかクリニックの人気者となっていき、仕事一筋に生きてきて女性に興味を持つことも少なかったアイザイアはそんなローラを女性として意識して強く惹かれ出していく。

しかし何故かクリニック内で不可解な事件が次々と発生し始めて・・・。


仕事一筋の生真面目な獣医アイザイアと失語症の女性ローラの障害を乗り越えて育むロマンスを描いた作品です。

障害者と言ってもローラの場合は比較的軽症ですし、性格が前向きで明るい事もあって、とても爽やかな雰囲気を感じます。

次々と起こる不可解な事件というサスペンス的な要素もありますが、誰かが死ぬような大きな事件は起こらず、それ程ハラハラするような展開になるわけでもありません。

ハンデを持った女性が周囲の人たちの助力を得ながら、持ち前の優しさとひたむきさで道を切り開いていき、愛する男性と結ばれるまでのストーリーで、こういう心温まるロマンス小説は気持ちが良いですね。