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渡辺淳一文学賞を受賞した作品の一覧です。

渡辺淳一文学賞受賞作

渡辺淳一文学賞は、2014年(平成26年)に逝去された作家・渡辺淳一氏の功績をたたえて、純文学・大衆文学の枠を超え人間心理に深く迫る豊潤な物語性を持った小説を顕彰するため2015年に創設された文学賞で、集英社と一ツ橋綜合財団が主催しています。
前年の1月から12月に刊行された、日本語で書かれた小説の単行本および単行本未刊行の文庫本が対象となります。
以下は受賞作の一覧です。

第9回(2024年)

塩田武士 : 存在のすべてを

    平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。異様な展開を辿った事件の真実を求め再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる――。質感なき時代に「実」を見つめる、著者渾身、圧巻の最新作。
    (「内容紹介」より)

    第8回(2023年)

    古谷田奈月 : フィールダー

      総合出版社・立象社で社会派オピニオン小冊子を編集する橘泰介は、担当の著者・黒岩文子について、同期の週刊誌記者から不穏な報せを受ける。児童福祉の専門家でメディアへの露出も多い黒岩が、ある女児を「触った」らしいとの情報を追っているというのだ。時を同じくして橘宛てに届いたのは、黒岩本人からの長文メール。そこには、自身が疑惑を持たれるまでの経緯がつまびらかに記されていた。消息不明となった黒岩の捜索に奔走する橘を唯一癒すのが、四人一組で敵のモンスターを倒すスマホゲーム・『リンドグランド』。その仮想空間には、橘がオンライン上でしか接触したことのない、ある「かけがえのない存在」がいて……。
      (「内容紹介」より)

      第7回(2022年)

      葉真中顕 : 灼熱

        沖縄生まれの勇と、ブラジルで生まれ育った日本移民二世のトキオ。一九三四年、日本から最も遠い地・ブラジルの日本人入植地「弥栄村」で出会った二人は、かけがえのない友となるが……。第二次世界大戦後、異郷の地で日本移民を二分し、多数の死傷者を出した「勝ち負け抗争」。共に助け合ってきた人々を過激な抗争へと駆り立てた熱の正体とはなんだったのか。分断が加速しフェイクニュースが横行する現代にこそ問う、圧倒的巨篇。
        (「内容紹介」より)

        第6回(2021年)

        千早茜 : 透明な夜の香り

          元・書店員の一香がはじめた新しいアルバイトは、古い洋館の家事手伝い。その洋館では、調香師の小川朔が、オーダーメイドで客の望む「香り」を作る仕事をしていた。人並み外れた嗅覚を持つ朔のもとには、誰にも言えない秘密を抱えた女性や、失踪した娘の手がかりを求める親など、事情を抱えた依頼人が次々訪れる。一香は朔の近くにいるうちに、彼の天才であるがゆえの「孤独」に気づきはじめていた――。「香り」にまつわる新たな知覚の扉が開く、ドラマティックな長編小説。
          (「内容紹介」より)

          第5回(2020年)

          金原ひとみ : アタラクシア

            最も幸せな瞬間を、夫とは別の男と過ごす翻訳者の由依。浮気する夫や文句ばかりの母親、反抗的な息子に、限界まで苛立つパティシエの英美。妻に強く惹かれながらも、何をしたら彼女が幸せになるのか分からない作家の桂……。望んで結婚したはずなのに、どうしてこんなに苦しいのだろう──ままならない結婚生活に救いを求めもがく男女を、圧倒的熱量で描き切る。
            (「内容紹介」より)

            第4回(2019年)

            松井今朝子 : 芙蓉の干城

              日中戦争間近の昭和八年東京。歌舞伎の殿堂木挽座を訪れた右翼結社大幹部と芸妓が惨殺された。築地署は、役者や裏方の信頼厚い江戸歌舞伎作者の末裔・桜木治郎に協力を要請。桜木は、荻野沢之丞の楽屋で被害者を見たことを思い出す。さらに夭折した天才役者の評伝取材で、劇場を熟知したトリックに気づき……。芸と欲に搦めとられた人間の情念を炙り出す劇場時代ミステリー。
              (「内容紹介」より)

              第3回(2018年)

              東山彰良 : 僕が殺した人と僕を殺した人

                一九八四年、台湾で四人の少年たちは友情を育んでいた。三十年後、人生の歯車は彼らを大きく変える。圧倒的熱量で描く青春ミステリ。
                (「内容紹介」より)

                第2回(2017年)

                平野啓一郎 : マチネの終わりに

                  天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。しかし、洋子には婚約者がいた。スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。芥川賞作家が贈る、至高の恋愛小説。
                  (「内容紹介」より)

                  第1回(2016年)

                  川上未映子 : あこがれ

                    おかっぱ頭のやんちゃ娘ヘガティ ーと、絵が得意でやせっぽちの麦くん。クラスの人気者ではないけれど、悩みも寂しさもふたりで分けあうとなぜか笑顔に変わる、彼らは最強の友だちコンビだ。麦くんをくぎ付けにした、大きな目に水色まぶたのサンドイッチ売り場の女の人や、ヘガティーが偶然知ったもうひとりのきょうだい……。互いのあこがれを支えあい、大人への扉をさがす物語の幕が開く。
                    (「内容紹介」より)