小説すばる新人賞受賞作
小説すばる新人賞は集英社が発行するエンターテインメント系の小説誌「小説すばる」が主催する公募の新人文学賞です。
1987年創刊の「小説すばる」に合わせて創設され、ジャンルは不問で、受賞作は集英社から書籍化されます。
以下は受賞作です。
第37回(2024年)
須藤アンナ : グッナイ・ナタリー・クローバー
第36回(2023年)
逢崎遊 : 正しき地図の裏側より
(「遡上の魚」改題)
定時制高校に通いながら無職の父に代わり働く耕一郎は、ある冬、苦労して貯めた八万円が無くなっていたことに気づく。このことを父に問い質すと、父は金を使ったことを悪びれもせずに認めた上、予想を超える衝撃の言葉を言い放った。衝動的に父を殴り飛ばした耕一郎は、雪の中に倒れた父を放置して故郷を逃げるように去る。しかし、僅かな所持金は瞬く間に減り、逃亡生活は厳しくなる一方。遂に金が底をつき、すべてを諦めようとしたそのとき、「……なに、訳あり?」公園の隅、小さなホームレスの溜まり場から、ひとつの手が差し伸べられる。出会いと別れを繰り返し、残酷な現実を乗り越えた先、故郷へと帰る決意を固めた耕一郎を待ち受けていたものは──。社会から切り離される圧倒的な絶望と、心と心が深く繋がるやさしさを描いた、25歳の若き著者による感動のデビュー作。
(「内容紹介」より)
第36回(2023年)
神尾水無子 : 我拶もん
( 受賞時 / 水無月神野 : 我拶(がさつ)もん )
寛保二年。大名や旗本の駕籠を担ぐことを生業とする陸尺の桐生は売れっ子として江戸で人気を誇っていた。ある日、芝居小屋の《市村座》で木戸番と陸尺の大乱闘が勃発。相方の龍太が巻き込まれたと知った桐生は仲間の翔次と共に駆けつける。だが龍太は捕えられ、騒ぎを収めようとしたはずの桐生も結託した仲間に裏切り者扱いされ仕事を干されてしまう。暇を持て余していた八月のある日、大雨により江戸で大洪水が発生。桐生は辛うじて生き延びるも商売道具の右腕に大怪我を負い、かつて恋仲であった娘・おみねも目の前で濁流に呑まれてしまう。何もかも失った桐生は《市村座》の騒動を機に知り合った玄蕃頭・有馬頼徸に救われ屋敷で世話になることになり、懇ろだった深川芸者の粧香とも再会。一方、頼徸の近習である坂西小弥太は、主君が桐生を気に入り、また幼い頃から恋心を抱いていた頼徸の姉・梅渓院までもが執心であることに苛立ちを覚えていた。そして、使い物にならず腐っていた桐生を痛罵し、桐生は有馬家を去るのだが……。
(「内容紹介」より)
第35回(2022年)
青波杏 : 楊花の歌
(受賞時:亜熱帯はたそがれて――廈門、コロニアル幻夢譚)
1941年、日本占領下の福建省廈門。大阪松島遊廓から逃走して、上海、広州、香港と渡り歩き、廈門に辿り着いたリリーは、抗日活動家の楊に従い、カフェーで女給として働きながら諜報活動をしていた。あるとき、楊から日本軍諜報員の暗殺を指示され、その実行者として、琥珀色の瞳と蛇の刺青が印象的なヤンファという女性を紹介される。中秋節の晩をきっかけに強くヤンファに惹かれていくリリーにとって、彼女と過ごす時間だけが生への実感を持てるひとときになっていた。しかし、楊から秘密裏に出されていた指令は、暗殺に失敗した場合はヤンファを殺せというものだった……。戦時下の中国・廈門を舞台に流転する女性たちの愛と葛藤を描く、圧巻の熱量を放つ第35回小説すばる新人賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第34回(2021年)
永原皓 : コーリング・ユー
海洋研究所に勤めるイーサンと飼育員のノアのもとに、国際バイオ企業からある依頼が舞い込んだ。世界環境を救うかもしれない微生物を収めた貴重なキャニスターを、シャチを訓練して海底から回収して欲しいという。間もなく訓練用の仔シャチが到着。イーサンはセブンと名付けられたそのシャチが愛情深く、他動物と言語によるコミュニケーションが出来ることに気づく。しかしここに来る前にいた海の世界では、セブンはカイという名で、好奇心が災いし、従姉のエルと共に人間に捕獲されたのだった。ある日、外洋での訓練中、離れ離れになったエルが苦境にあることをクジラから聞いたセブンは、心配のあまり不調に陥る。その様子を見たイーサンは、苦心の末、セブンの不調の原因を突き止め、ミッション終了後にシャチたちを故郷の海に帰すことを決意する。果たしてセブンは無事ミッションを遂行することが出来るのか――。
(「内容紹介」より)
第33回(2020年)
鈴村ふみ : 櫓太鼓がきこえる- 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆☆
17歳の篤は高校を中退し、親との関係が悪化する中、先の見えない毎日を過ごしていたが、相撲ファンの叔父の勧めで相撲部屋に呼出見習いとして入門することに。関取はいないし弟子も少ない弱小の朝霧部屋で力士たちと暮らし、稽古と本場所を繰り返す日々が始まる。部屋違いの呼出である直之さんは、篤と年は同じながら角界入りは2年早い兄弟子で、声のよさと愛らしい顔立ちで人気があり、すでにファンもついていた。面倒見もよく助言をくれたり相談にのってくれたりするありがたい存在だ。しかし篤は本番で四股名を呼び間違える失態を演じるなど、しくじってばかり……。一方、年の近い先輩呼出の光太郎からは嫌がらせを受け続けていたが、ある日、直之さんのファンだと思っていた女性から、篤を応援していると告げられる。そんな日々を過ごす篤は、兄弟子力士たちの焦りや葛藤を間近に感じながら、「呼出」という仕事に就いた自分の在り方を見つめ直していく。
(「内容紹介」より)
第32回(2019年)
佐藤雫 : 言の葉は、残りて
(受賞時:海の匂い)
海沿いの地にある鎌倉幕府。美しい景色とうらはらに、そこには陰謀、嫉妬、憎しみが渦巻いていた。そんな中、若き三代将軍・源実朝のもとに、摂関家の姫・信子が嫁いでくる。突然の縁談と異国の地に不安を覚える信子だったが、実朝の優しさと生まれて初めての海の匂いに包まれ、次第に心をゆるしていく。一方の実朝も、信子が教えてくれた和歌の魅力に触れ、武の力ではなく言の葉の力で世を治めたいと願うようになる。しかし、殺戮さえいとわない醜い権力争いが、ふたりを否応なく悲しみの渦に巻き込んでいく――。新世代の作家が描く、何度も心を揺さぶられる歴史恋愛小説。
(「内容紹介」より)
第32回(2019年)
上畠菜緒 : しゃもぬまの島
人を天国へと導く幻獣「しゃもぬま」が住む島。美しい少女たちの記憶と、呪われた家系の秘密。あの世へと誘われるのは、いったい誰なのか。幻想と現実を切り裂く、衝撃のデビュー作。第32回小説すばる新人賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第31回(2018年)
増島拓哉 : 闇夜の底で踊れ
35歳、無職、パチンコ依存症の伊達。ある日、大勝ちした勢いで訪れたソープランドで出会った詩織に恋心を抱き、入れ込むようになる。やがて所持金が底をつき、闇金業者から借りた金を踏み倒して襲撃を受ける伊達だったが、その窮地を救ったのはかつての兄貴分、関川組の山本だった。その後、山本との奇妙な共生生活を続けながら、詩織に一層のめり込んでいく伊達。一方、関川組の組長引退をきっかけにした内紛が抗争へと発展し、関川組周辺にきな臭い空気が立ち込める。伊達の秘められた過去、そして山本が伊達の前に現れた本当の理由が明かされるとき、事態は思いもよらぬ方向へと転がり進んでゆく――。
(「内容紹介」より)
第30回(2017年)
安壇美緒 : 天龍院亜希子の日記
人材派遣会社に勤める田町譲は、元野球少年の27歳。問題だらけの職場で奮闘しつつも報われず、恋人とも煮えきらない。惰性的な日々を送る彼は、ひょんなことから小学校の同級生「天龍院亜希子」のブログを見つける。派手な名前とは裏腹に地味な女の子だった彼女のブログに綴られていたこととは──。20代、30代の姿をありありと描く、希望へ向かう長編。第30回小説すばる新人賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第29回(2016年)
青羽悠 : 星に願いを、そして手を。
中学三年の祐人は、いつも薫、理奈、春樹とプラネタリウムのある科学館で過ごしていた。宇宙に憧れる四人は似た夢を持ち、同じ高校に進む。だが、月日が経ち、祐人は逃げた。夢を諦めて町役場で働く彼は科学館を避け、幼馴染の三人をも避け続ける。ところが、館長の訃報を受けて三人に会うことに。そこで科学館の閉鎖を知り……。瑞々しい筆致で描かれる青春群像劇。第29回小説すばる新人賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第28回(2015年)
渡辺優 : ラメルノエリキサ
女子高校生・りなの信条は「やられたら、やり返す」。その彼女が夜道で何者かに背中を切りつけられる。りなは復讐を果たすため、犯人捜しをするが……。
(「内容紹介」より)
第27回(2014年)
中村理聖 : 砂漠の青がとける夜
溝端さんと会わなくなってから、人肌の温度を深く味わう機会はほとんどなかった。準君の気配を感じようとすると、高校生の頃初めてできた彼氏の穏やかな声を思い出した。痣があるはずの腕の温もりを思うと、大学時代に随分長いこと付き合った、一つ年上の先輩の部屋の匂いを思い出した。付き合いそうで付き合わず、何となく疎遠になった男の人たちの肌の記憶が、私の中で蘇る。けれどこの部屋には誰もいない。卓上ライトの光が青白さを孕んでゆくように思い、私は無性に寂しくなった―。第27回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第26回(2013年)
周防柳 : 八月の青い蝶
(受賞時:翅と虫ピン)
「わしはずっと八月を、くり返してきたんじゃ」。急性骨髄性白血病で自宅療養することになった亮輔は、中学のときに広島で被爆していた。ある日、妻と娘は亮輔が大事にしている仏壇で古びた標本箱を見つける。そこには前翅の一部が欠けた小さな蝶がピンでとめられていた。それは昭和二十年八月に突然断ち切られた、彼の切なくも美しい恋を記憶する品だった。
(「内容紹介」より)
第25回(2012年)
行成薫 : 名も無き世界のエンドロール
(受賞時:マチルダ)
ドッキリを仕掛けるのが生き甲斐のマコトと、それに引っかかってばかりの俺は、小学校時代からの腐れ縁だ。30歳になり、社長になった「ドッキリスト」のマコトは、「ビビリスト」の俺を巻き込んで、史上最大の「プロポーズ大作戦」を決行すると言い出した―。一日あれば、世界は変わる。男たちの命がけの情熱は、彼女に届くのか?大いなる「企み」を秘めた第25回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第25回(2012年)
櫛木理宇 : 赤と白
冬はどこまでも白い雪が降り積もり、重い灰白色の雲に覆われる町に暮らす高校生の小柚子と弥子。同級生たちの前では明るく振舞う陰で、二人はそれぞれが周囲には打ち明けられない家庭の事情を抱えていた。そんな折、小学生の頃に転校していった友人の京香が現れ、日常がより一層の閉塞感を帯びていく…。絶望的な日々を過ごす少女たちの心の闇を抉り出す第25回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第24回(2011年)
橋本長道 : サラの柔らかな香車
プロ棋士になる夢に破れた瀬尾は、毎日公園に一人でいる金髪碧眼の少女サラに出会う。言葉のやりとりが不自由な彼女に対し、瀬尾は将棋を教え込む。すると、彼女は盤上に映る“景色”を見る能力を開花させ―。棋界に新たな風を送るサラ、将棋に人生を捧げてきたスター・塔子、数多の輝く才能を持つ七海の三人を巡り、厳しくも豊かな勝負の世界を描く青春長編。第24回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第23回(2010年)
安田依央 : たぶらかし
(受賞時:百狐狸斉放)
元舞台女優のマキ、39歳。あやしげな事務所に所属し、市井の人々の中で誰かの代役を務める「役者」を仕事にしている。多忙なセレブ母の代理として子供の学校に赴いたり、夫の親戚との付き合いを厭う新妻の身代わりや、更にはワケありな葬儀での死体役まで、様々な役柄をこなしている。そんな中、あやしい青年・モンゾウが、マキに無理やり弟子入りしてきて…。第23回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第23回(2010年)
畑野智美 : 国道沿いのファミレス
佐藤善幸、外食チェーンの正社員。身に覚えのない女性問題が原因で左遷された先は、6年半一度も帰っていなかった故郷の町にある店舗だった。淡々と過ごそうとする善幸だが、癖のある同僚たち、女にだらしない父親、恋人の過去、親友の結婚問題など、面倒な人間関係とトラブルが次々に降りかかり…。ちょっとひねくれた25歳男子の日常と人生を書いた、第23回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第22回(2009年)
河原千恵子 : 白い花と鳥たちの祈り
中学1年のあさぎは、母が再婚して新しい街に引っ越してきた。中学では本当の友達と言える存在はなく、新しい父にはなじめない。そんなあさぎの心の支えは、郵便局の中村さんで…。繊細に紡ぐ物語。
(「内容紹介」より)
第22回(2009年)
朝井リョウ : 桐島、部活やめるってよ
バレー部の主将桐島が、突然部活をやめた。そのことで、同高校に通う5人の生活に小さな波紋が広がり…。至るところでリンクする17歳の物語。瑞々しい感性が光る第22回小説すばる新人賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第21回(2008年)
矢野隆 : 蛇衆- 再読度 ☆☆:読後感 ☆☆
室町末期、自らの力だけを頼りに、各地を転戦する傭兵集団「蛇衆」。だが、その頭目・朽縄が九州の地方領主・鷲尾家の家督争いに巻き込まれて…。
(「内容紹介」より)
第21回(2008年)
千早茜 : 魚神
遊女屋が軒を連ねる、閉ざされた小さな島。美貌の姉弟は引き裂かれ、姉は女郎、弟は裏華町の男娼を経て、薬売りとして生きている。互いを求める二人の運命が、島の「雷魚伝説」と交錯し…。第21回小説すばる新人賞・泉鏡花文学賞受賞作!
(「内容紹介」より)
第20回(2007年)
天野純希 : 桃山ビート・トライブ
時は安土桃山。運命的に出会った四人の若者が一座を結成した。驚くべき速さで三味線を弾きこなす藤次郎。出雲のお国一座の笛役者・小平太。信長の従者だった黒人の太鼓叩き・弥介。べらぼうに喧嘩の強い天性の舞姫・ちほ。型破りな芸で熱狂的に民衆に迎えられた彼らは、やがて、庶民への支配を強める秀吉に立ち向かうことに――。エネルギッシュで爽快な、第20回小説すばる新人賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第19回(2006年)
水森サトリ : でかい月だな
ぼくを混乱と哀しみに突き落とし、あいつは町から消えてしまった―。中学生の幸彦は、友人綾瀬に崖から蹴り落とされて大好きなバスケができない身体になってしまう。無気力な日々を送るなか、目の前に現れた天才科学少年中川、オカルト少女かごめ。やがて幸彦の周囲に奇妙で不可解な現象が起こり始め…。繊細にして圧倒的スケールの青春小説登場!第19回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第18回(2005年)
飛鳥井千砂 : はるがいったら
両親が離婚し、離れて暮らす姉弟。完璧主義の姉・園は、仕事もプライベートも自己管理を徹底しているが、婚約者のいる幼なじみと不毛な恋愛を続けている。体が弱く冷めた性格の弟・行は、寝たきりの愛犬・ハルの介護をしながら高校に通い、進路に悩む。行が入院し、ハルの介護を交代した園。そんな二人に転機が訪れ―。瑞々しい感性が絶賛された、第18回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第17回(2004年)
三崎亜記 : となり町戦争
ある日、突然に始まった隣接する町同士の戦争。公共事業として戦争が遂行され、見えない死者は増え続ける。現代の戦争の狂気を描く傑作。
(「内容紹介」より)
第16回(2003年)
山本幸久 : 笑う招き猫
(受賞時:アカコとヒトミと)
男と並んで愛誓うより、女と並んで笑いを取る、それが二人のしあわせなのだ!駆け出しの漫才コンビ、『アカコとヒトミ』。超貧乏で彼氏なし、初ライブは全く受けずに大失敗。おまけにセクハラ野郎の先輩芸人を殴り倒して大目玉。今はぜんぜんさえないけれど、いつかはきっと大舞台。体に浴びます大爆笑―。夢と笑いとパワーあふれる傑作青春小説。第16回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第15回(2002年)
関口尚 : プリズムの夏
「わたしはわたしをやめたい。もう消えてしまいたい。」ネットで見つけた、うつ病女性の日記。高3のぼくは、書いているのが片思いの相手・松下さんではないかと疑い始める。映画館で働く美しい彼女にそんな気配はないけど、証拠は積み重なる。死へ向かう、日記の女性が松下さんなら、ぼくは助けたい。どんなに苦しいことがあっても―。ひたむきな想いを描く青春小説。第15回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第14回(2001年)
松樹剛史 : ジョッキー
栄光に向かって疾走する、若き騎手の青春。女子アナとの淡い恋、横暴な馬主との確執、馬への愛情――様々な思いを抱え、心優しき騎手は天皇賞の大舞台に挑む。魅力的な登場人馬を描く第14回小説すばる新人賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第13回(2000年)
堂場瞬一 : 8年
オリンピックで華々しい活躍をし、当然プロ入りを期待されたが、ある理由から野球を捨ててしまった投手・藤原雄大。8年後、30歳を過ぎた彼は、突然、ニューヨークのメジャー球団に入団する。あの男ともう一度対戦したい!その悲願のためだけに…。一度は諦めた夢を実現するため、チャレンジする男の生き様を描くスポーツ小説の白眉。第13回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第12回(1999年)
竹内真 : 粗忽拳銃
入門5年目、いまだ前座の噺家・流々亭天馬。ひょんなことから拳銃を拾い、ふざけ半分で引き金を引くと、なんと実弾が飛び出した!この出来事が天馬と仲間たちの未来を変えていく。自主映画監督、売れない劇団員、見習いライター。それぞれの夢に向かって走りつづける若者たちを描く、爽快な青春ストーリー。第12回小説すばる新人賞受賞作品。
(「BOOK」データベースより)
第11回(1998年)
野中ともそ : パンの鳴る海、緋の舞う空
「スティールドラム(パン)が好きな男性募集」NYの新聞にそんな恋人募集の個人広告が載る。広告を出したのは作詞家マヤ。電話をかけたのは地下鉄車掌グレゴリー。埋めがたい心の穴を抱える二人は、電話だけの付き合いを続けるうちに心を許し合っていく。やがてパンの故郷トリニダッド・トバゴで会う約束を交すが―。傷を抱えた男女の切なく激しい恋の行方は?第11回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第11回(1998年)
池永陽 : 走るジイサン
頭の上に猿がいる。話しかければクーと鳴き、からかえば一人前に怒りもする。お前はいったい何者だ―。近所の仲間と茶飲み話をするだけの平凡な老後をおくっていた作次。だが、突然あらわれた猿との奇妙な「共同生活」がはじまる。きっかけは、同居する嫁にほのかな恋情を抱いたことだった…。老いのやるせなさ、そして生の哀しみと可笑しさを描く、第11回小説すばる新人賞受賞作品。
(「BOOK」データベースより)
第10回(1997年)
熊谷達也 : ウエンカムイの爪
北海道でヒグマに襲われた動物写真家・吉本を救ったのは、クマを自在に操る能力を持つ謎の女だった…。野生のヒグマと人間の壮絶な戦いを描く、第10回小説すばる新人賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第10回(1997年)
荻原浩 : オロロ畑でつかまえて
超過疎化にあえぐ日本の秘境・牛穴村が、村おこしのため、倒産寸前の広告代理店と手を組んだ。彼らが計画した「作戦」とは! ? 痛快ユーモア小説。
(「内容紹介」より)
第9回(1996年)
森村南 : 陋巷の狗 ろうこうのいぬ
幕末の京洛を、血に染め上げたアウトローたち。小説すばる新人賞受賞作!阿刀田高、五木寛之、井上ひさし、田辺聖子、4人の選考委員が一致して評価した、弱冠20歳の、この熱気、このパワー。かたや、「人斬り以蔵」の異名で恐れられた土佐浪人・岡田以蔵。かたや、坂本竜馬の用人棒・朱楽万次。アウトローたちの凄絶な戦いを、ジャンプ世代の感覚で描ききった強烈弾。
(「BOOK」データベースより)
第8回(1995年)
武谷牧子 : 英文科AトゥZ
第8回(1995年)
早乙女朋子 : バーバーの肖像
父親がいない複雑な家庭に育った主人公・衿子。結婚を目前にして、衿子は自らの過去に向かい合うことになる。遠い記憶をさかのぼれば、いつも頭に浮かんでくるのは「バーバー」のことだった……。幼い頃、母と姉と一緒に日曜日ごとに通っていた鎌倉の古い家。そこに一人で住んでいた「バーバー」と呼ばれる謎の老人。おしゃれで、どこかの国の王様のように優雅で、とびっきり上等で、いつも幼い自分を気にかけて守ってくれた温かくて優しいバーバー。あの人は一体、何者だったのだろうか? 母の恋人? 私の父親? それとも? しかし、そんな慈しみに満ちた平穏な日々を断ち切る事件が起きる。別れを告げてきた少女期の夢のかけらたちへのレクイエム。いびつでありながらも純粋な家族の形を描く、遠い日の愛と癒しの物語。
(「内容紹介」より)
第7回(1994年)
冨士本由紀 : 包帯をまいたイブ
「僕」はレズビアン・バーに男役として勤める女。冴子という美女と同棲している。胸にさらしを巻いた店長の麻生にも、金持ちのパトロネーゼがいる。だが「僕」の心には麻生がいて、麻生もまた…。麻生の入院をきっかけに、愛を確認したふたりだが、いざベッドインすることになって男役同士、女になって愛されることができない。ばりばりスタンダードなレズビアンたちの切ない「純愛」の行方は。第7回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第7回(1994年)
上野歩 : 恋人といっしょになるでしょう
浅草にある玩具月報社に勤める“僕”と儚げな“彼女”。揺れる心が愛に変わる時、僕たちは同じ月を見ていた。小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第6回(1993年)
村山由佳 : 天使の卵 エンジェルス・エッグ
そのひとの横顔はあまりにも清洌で、凛としたたたずまいに満ちていた。19歳の予備校生の“僕”は、8歳年上の精神科医にひと目惚れ。高校時代のガールフレンド夏姫に後ろめたい気持はあったが、“僕”の心はもう誰にも止められない―。第6回「小説すばる」新人賞受賞作品。みずみずしい感性で描かれた純愛小説として選考委員も絶賛した大型新人のデビュー作。
(「BOOK」データベースより)
第6回(1993年)
佐藤賢一 : ジャガーになった男
「武士に生まれて、華もなく死に果ててたまろうものか!」“戦い”に魅了されたサムライ・寅吉は冒険を求めて海を越える。17世紀のヨーロッパを駆けぬけた男の数奇な運命を描く。第6回小説すばる新人賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第5回(1992年)
吉富有 : 砂時計
2度の転職、妻子ある男性との同居。仕事も恋も中途半端と感じている私のもとに、母親と駆け落ちした男から、一通の手紙が届く。知的なユーモアが傷ついた心を癒す。第5回小説すばる新人賞受賞。
(「内容紹介」より)
第4回(1991年)
藤水名子 : 涼州賦
悪がのさばる唐末期の涼州。新任の官吏・尚参、碧眼の賞金稼ぎ・豹狄、酒場の女・小杏が、不逞の輩を相手に大暴れ!中国西域を舞台に描く痛快活劇ロマン。第4回小説すばる新人賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第4回(1991年)
たくきよしみつ : マリアの父親
マリアという女に惹かれた青年・哲義は不可思議な出会いの末、地球と人間の恐るべき真実を知る。常識=固定化された情報。情報化社会の虚実に挑むエントロピー小説。第4回小説すばる新人賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第3回(1990年)
篠田節子 : 絹の変容
レーザーディスクのように虹色に輝く絹―その妖しい光沢にとりつかれた長谷は、ハイテク技術で蚕の繁殖を試みるが…。バイオ・テクノロジーの恐怖を描く。
(「内容紹介」より)
第2回(1989年)
草薙渉 : 草小路鷹麿の東方見聞録
京都の公家の末裔、草小路鷹麿は生まれて26年間、広大な屋敷から一歩も外に出たことがなかった。そんな彼が「東京にいる婚約者を探しに行け」という、父の遺言に従い上京。これまで外界に触れなかったが故に体験する驚きの連続…。だが一方、婚約者探しの過程で鷹麿に襲いかかる、ミステリアスな事件の真実が次第に明らかになる。父の怨敵の存在と、避けえない決闘に直面する鷹麿は、果たして…。第2回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第2回(1989年)
花村萬月 : ゴッド・ブレイス物語
朝子は、活気あふれる19歳のロックシンガーだ。ライブで人気を集めるバンドを率いている。騙されて行った京都で、そんな彼らが遭遇する愛と冒険の日々…。切ない恋心に胸を焦がしたことのある人なら、自分の不誠実な生き方に後ろめたい想いを抱いて生きている人なら、読んで涙せずにはいられない、花村万月、鮮烈のデビュー作。第2回小説すばる新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第1回(1988年)
長谷川潤二 : こちらノーム
スーパーコンピュータ設計技師が、突然の人事異動で左遷。進退を思案している彼の自宅のパソコンに正体不明のヘッドハンターの文字が打ち出された。ネオスパイ小説。第1回小説すばる新人賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第1回(1988年)
山本修一 : 川の声
母の病気で田舎へ帰った男。上司と心中未遂事件を起こした女。同級生だった二人の密やかな愛の日々の中で冗談みたいな銀行強盗計画が現実味を帯びていく…受賞作他。第1回小説すばる新人賞受賞作。
(「内容紹介」より)