中山義秀文学賞受賞作
中山義秀文学賞は、福島県白河市出身の小説家中山義秀の記念館が1993年につくられた事を記念して創設された、中山義秀顕彰会が主催し白河市と中山義秀記念文学館が共催する文学賞です。
対象となるのは日本の歴史小説・時代小説で、推薦応募作の中から予選委員会が候補作品を選出し、それを受けた選考委員が日本の文学賞としては唯一公開選考をして受賞作を決定します。
以下は受賞作の一覧です。
第30回(2024年)
荒山徹 : 風と雅の帝
皇位継承が持明院統と大覚寺統で交互に行なわれていた鎌倉時代後期、量仁(光厳天皇)は持明院統の期待を背負って即位した。しかし、幕府が倒される際、六波羅探題軍とともに京都から逃れるも追い詰められ、目の前で六波羅探題ら四百名以上の武士が自刃。捕えられた光厳は、前帝・後醍醐によって即位そのものを否定されてしまう。その後、後醍醐と敵対した足利尊氏に擁立されることで、一度は“治天の君”の座につくも、尊氏の裏切りにより、南朝の囚われの身に――。彼を慕っていた鎌倉武士の死、宿敵・後醍醐との泥沼の闘い、吉野での幽閉の日々……南北朝の動乱の中、「天皇とは何か」を真摯に考え続け、現在の“象徴天皇”にも繋がる生き方を貫いた、“忘れられた天皇”を描く、著者渾身の歴史長編小説。
(「内容紹介」より)
第29回(2023年)
該当作なし
第28回(2022年)
周防柳 : 身もこがれつつ 小倉山の百人一首
平安時代の最高権力者・藤原道長に連なる藤原北家ながら傍流の御子左家は、歌壇ではそれなりの実力を発揮しているものの、公家の出世レースではパッとしない家柄。当家の次男に生まれた藤原定家は、病由来の難聴を克服し、侍従時代の同僚で親友の藤原家隆らとともに『新古今和歌集』の選者を務めるなど、歌壇でめきめきと頭角を現す。鎌倉幕府に押され気味の朝廷の権威回復を狙う後鳥羽上皇は、そんな定家に、三代将軍・源実朝に京への憧れを植え付けるため「敷島の道(和歌)」を指南せよと命ずる。後鳥羽の野心は肥大し、ついには倒幕の兵を挙げんとするが……。知らぬ人のいない「小倉百人一首」には、なぜあの100首が選ばれたのか? 同じく藤原定家選の「百人秀歌」より1首少なく3首だけ異なる理由とは――「承久の乱」前後の史実をきらびやかに描きながら、その謎を解き明かす。
(「内容紹介」より)
第27回(2021年)
蝉谷めぐ実 : 化け者心中
ときは文政、ところは江戸。ある夜、中村座の座元と狂言作者、6人の役者が次の芝居の前読みに集まった。その最中、車座になった輪の真ん中に生首が転がり落ちる。しかし役者の数は変わらず、鬼が誰かを喰い殺して成り代わっているのは間違いない。一体誰が鬼なのか。かつて一世を風靡した元女形の魚之助と鳥屋を商う藤九郎は、座元に請われて鬼探しに乗り出す――。
(「内容紹介」より)
第26回(2020年)
木下昌輝 : まむし三代記
弘治二年(一五五六)、四月二十日――国さえもたやすく滅ぼしてしまうものが、大量に発見された。美濃の地においてである。奇しくも、この日、ひとりの男が討たれた。まむしと恐れられた斎藤道三である。国を滅しかねないものを集め、秘蔵した張本人だ。より正確を期すなら、道三とその父親である。道三の父親は美濃へわたり、異例の出世をとげる。無論のこと、その影には国を滅ぼしかねない凶器の存在があった。道三と法蓮房の親子二代の国盗りに、この凶器が暗躍する。いつしか、道三と法蓮房らは凶器のことをこう呼ぶようになった。国滅ぼし――と。
(「内容紹介」より)
第25回(2019年)
河治和香 : がいなもん 松浦武四郎一代
明治十六年、絵師の河鍋暁斎を訪ねた松浦武四郎は、その娘・豊の問いに応じて自らを語り始める…。武四郎は文化十五年、伊勢国に生まれた。竹川竹齋から〈神足歩行術〉を学び、地図や道中記を見て各地を旅したいという夢を抱く。十六歳で家出して江戸に行ったことを手始めに、全国を旅するようになった。その後、蝦夷地で頻繁にロシア船が出没していることを知り、都合六回に亘る蝦夷地の探検を行った。アイヌの人々と親しく交わり、大自然に寄り添った生き方に敬意を感じていた。なかでも、ソンという子どものアイヌを可愛がり、別れた後もその消息を確かめ合うことになる。江戸に戻った武四郎は様々な記録や報告書を作成し、和人によるアイヌへの搾取の実態と救済を訴え、九千八百ものアイヌの地名を記した地図を作成した。蝦夷地通としても、吉田松陰や坂本龍馬にも助言をした。そして、北海道の名前の制定に関わる。幼い頃から好きだった古物蒐集家としても知られるようになった。晩年には、率先してユニークな墓や棺を用意するという終活の達人でもあった。並外れた行動力と収集癖、膨大な執筆物で多くの人を魅了した人物を描いた伝記小説。
(「内容紹介」より)
第24回(2018年)
帚木蓬生 : 守教
隠れキリシタンたちの魂の叫びが、甦る! 慟哭の歴史巨編! 戦国期の伝来から、弾圧を経て、江戸時代の終わりまで。九州のその村に、隠れつづけたキリシタンたち。殉教する者、転ぶ者、密告する者。史実をもとに、命を賭けて信じ続けた村人たちの姿を、過酷な状況を、残酷な処刑を、心の迷いを、温かい視線で描ききった落涙必至の歴史小説。あなたの知らなかった真実が、ここにはある!
(「内容紹介」より)
第23回(2017年)
梓澤要 : 荒仏師 運慶
自分にしか彫れぬ仏とは何か。絶望も愛欲も仏に刻んだ天才運慶の濃厚な生涯。少年の頃「醜い顔」と嘲られた運慶は、それゆえ美に敏感となった。鎌倉武士の逞しい肉体に目を奪われ、女の姿態を仏の姿に写しとる。その手にあるのは鑿一つ。荒ぶる野心、快慶との確執、飽くなき美の追求。だが絶頂期、病が襲った……。戦乱渦巻く時代に、美と祈りのはざまで格闘し続けた天才のすべてを描く渾身の歴史小説。
(「内容紹介」より)
第22回(2016年)
朝井まかて : 眩
第21回(2015年)
風野真知雄 : 沙羅沙羅越え
第20回(2014年)
伊東潤 : 峠越え
第19回(2013年)
天野純希 : 破天の剣
群雄割拠の戦国時代、九州は薩摩の戦国大名・島津貴久の四男として生まれた家久。若年の頃より祖父・島津忠良から「軍法戦術に妙を得たり」と評価されるほどの戦上手であった。一方、兄弟の中で家久一人が母親の違う出自の為に、その深い悩みを抱えていた。その思いを払拭するかのように家久は、豊後・大友宗麟、肥前・竜造寺隆信という名だたる大大名を打ち破り、島津氏の九州統一に活躍をみせる。しかし、時の権力者、豊臣秀吉と弟、秀長がその前に立ちふさがり、島津は20万を超える豊臣の大軍と戦うことになる・・・・・・。九州の覇権争いの中で、島津に現れた猛将・島津家久。戦国きっての戦上手で孤高の漢による戦の攻防、そして兄弟との葛藤、波乱に満ちた生涯を、気鋭の作家が描く! !
(「内容紹介」より)
第18回(2012年)
西條奈加 : 涅槃の雪
町与力の高安門佑は、新任の北町奉行・遠山景元の片腕として市井の取締りに励む毎日だ。その最中、元遊女のお卯乃を屋敷に引き取る。お卯乃との生活に安らぎを覚える門佑だったが、老中・水野忠邦が推進する天保の改革は、江戸を蝕み始めていた。改革に反対する遠山らと水野の鬩ぎ合いが苛烈を増す中、門佑は己の正義を貫こうとするが――。爽やかな傑作時代小説。
(「内容紹介」より)
第17回(2011年)
澤田瞳子 : 孤鷹の天
第16回(2010年)
上田秀人 : 孤闘 立花宗茂
知勇にすぐれる戸次道雪の娘誾千代と縁づいたことで、立花宗茂の「戦国九州三国志」が始まった――。大友家臣としての島津家との死闘、豊臣秀吉政権下での朝鮮従軍を経て、関ヶ原へ。誾千代との葛藤の中で奮闘し、天下人に「剛勇鎮西一」と恐れられた稀代の猛将の懊悩を精緻に描いた、第十六回中山義秀文学賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第15回(2009年)
植松三十里 : 彫残二人
第14回(2008年)
岩井三四二 : 清佑、ただいま在庄
第13回(2007年)
火坂雅志 : 天地人
第12回(2006年)
池永陽 : 雲を斬る
第11回(2005年)
安部龍太郎 : 天馬、翔ける
第10回(2004年)
乙川優三郎 : 武家用心集
第9回(2003年)
竹田真砂子 : 白春
第8回(2002年)
杉本章子 : おすず 信太郎人情始末帖
第7回(2001年)
宇江佐真理 : 余寒の雪
第6回(2000年)
飯嶋和一 : 始祖鳥記
空前の災厄続きに、人心が絶望に打ちひしがれた暗黒の天明期、大空を飛ぶことに己のすべてを賭けた男がいた。その“鳥人"幸吉の生きざまに人々は奮い立ち、腐りきった公儀の悪政に敢然と立ち向かった――。
(「内容紹介」より)
第5回(1997年)
高橋直樹 : 鎌倉擾乱
臆病な本性を隠し、権謀術数の末、内管領にまでのぼりつめた平頼綱の数奇な運命……。「異形の寵児」など三篇。第五回中山義秀賞受賞
(「内容紹介」より)
第4回(1996年)
佐江衆一 : 江戸職人綺譚- 再読度 ☆:読後感 ☆
第3回(1995年)
大島昌宏 : 罪なくして斬らる 小栗上野介
第2回(1994年)
堀和久 : 長い道程
第1回(1993年)
中村彰彦 : 五左衛門坂の敵討
幕末という激動する時代の大波の陰に秘められた会津藩士の敵討を描いた表題作をはじめ、歴史に埋もれようとする志ある男たちの生き方を掘り起こした歴史小説集。
(「内容紹介」より)