中山義秀文学賞受賞作
中山義秀文学賞は、福島県白河市出身の小説家中山義秀の記念館が1993年につくられた事を記念して創設された、中山義秀顕彰会が主催し白河市と中山義秀記念文学館が共催する文学賞です。
対象となるのは日本の歴史小説・時代小説で、推薦応募作の中から予選委員会が候補作品を選出し、それを受けた選考委員が日本の文学賞としては唯一公開選考をして受賞作を決定します。
以下は受賞作の一覧です。
第29回(2023年)
該当作なし
第28回(2022年)
周防柳 : 身もこがれつつ 小倉山の百人一首
平安時代の最高権力者・藤原道長に連なる藤原北家ながら傍流の御子左家は、歌壇ではそれなりの実力を発揮しているものの、公家の出世レースではパッとしない家柄。当家の次男に生まれた藤原定家は、病由来の難聴を克服し、侍従時代の同僚で親友の藤原家隆らとともに『新古今和歌集』の選者を務めるなど、歌壇でめきめきと頭角を現す。鎌倉幕府に押され気味の朝廷の権威回復を狙う後鳥羽上皇は、そんな定家に、三代将軍・源実朝に京への憧れを植え付けるため「敷島の道(和歌)」を指南せよと命ずる。後鳥羽の野心は肥大し、ついには倒幕の兵を挙げんとするが……。知らぬ人のいない「小倉百人一首」には、なぜあの100首が選ばれたのか? 同じく藤原定家選の「百人秀歌」より1首少なく3首だけ異なる理由とは――「承久の乱」前後の史実をきらびやかに描きながら、その謎を解き明かす。
(「内容紹介」より)
第27回(2021年)
蝉谷めぐ実 : 化け者心中
ときは文政、ところは江戸。ある夜、中村座の座元と狂言作者、6人の役者が次の芝居の前読みに集まった。その最中、車座になった輪の真ん中に生首が転がり落ちる。しかし役者の数は変わらず、鬼が誰かを喰い殺して成り代わっているのは間違いない。一体誰が鬼なのか。かつて一世を風靡した元女形の魚之助と鳥屋を商う藤九郎は、座元に請われて鬼探しに乗り出す――。
(「内容紹介」より)
第26回(2020年)
木下昌輝 : まむし三代記
弘治二年(一五五六)、四月二十日――国さえもたやすく滅ぼしてしまうものが、大量に発見された。美濃の地においてである。奇しくも、この日、ひとりの男が討たれた。まむしと恐れられた斎藤道三である。国を滅しかねないものを集め、秘蔵した張本人だ。より正確を期すなら、道三とその父親である。道三の父親は美濃へわたり、異例の出世をとげる。無論のこと、その影には国を滅ぼしかねない凶器の存在があった。道三と法蓮房の親子二代の国盗りに、この凶器が暗躍する。いつしか、道三と法蓮房らは凶器のことをこう呼ぶようになった。国滅ぼし――と。
(「内容紹介」より)
第25回(2019年)
河治和香 : がいなもん 松浦武四郎一代
明治十六年、絵師の河鍋暁斎を訪ねた松浦武四郎は、その娘・豊の問いに応じて自らを語り始める…。武四郎は文化十五年、伊勢国に生まれた。竹川竹齋から〈神足歩行術〉を学び、地図や道中記を見て各地を旅したいという夢を抱く。十六歳で家出して江戸に行ったことを手始めに、全国を旅するようになった。その後、蝦夷地で頻繁にロシア船が出没していることを知り、都合六回に亘る蝦夷地の探検を行った。アイヌの人々と親しく交わり、大自然に寄り添った生き方に敬意を感じていた。なかでも、ソンという子どものアイヌを可愛がり、別れた後もその消息を確かめ合うことになる。江戸に戻った武四郎は様々な記録や報告書を作成し、和人によるアイヌへの搾取の実態と救済を訴え、九千八百ものアイヌの地名を記した地図を作成した。蝦夷地通としても、吉田松陰や坂本龍馬にも助言をした。そして、北海道の名前の制定に関わる。幼い頃から好きだった古物蒐集家としても知られるようになった。晩年には、率先してユニークな墓や棺を用意するという終活の達人でもあった。並外れた行動力と収集癖、膨大な執筆物で多くの人を魅了した人物を描いた伝記小説。
(「内容紹介」より)
第24回(2018年)
帚木蓬生 : 守教
隠れキリシタンたちの魂の叫びが、甦る! 慟哭の歴史巨編! 戦国期の伝来から、弾圧を経て、江戸時代の終わりまで。九州のその村に、隠れつづけたキリシタンたち。殉教する者、転ぶ者、密告する者。史実をもとに、命を賭けて信じ続けた村人たちの姿を、過酷な状況を、残酷な処刑を、心の迷いを、温かい視線で描ききった落涙必至の歴史小説。あなたの知らなかった真実が、ここにはある!
(「内容紹介」より)
第23回(2017年)
梓澤要 : 荒仏師 運慶
自分にしか彫れぬ仏とは何か。絶望も愛欲も仏に刻んだ天才運慶の濃厚な生涯。少年の頃「醜い顔」と嘲られた運慶は、それゆえ美に敏感となった。鎌倉武士の逞しい肉体に目を奪われ、女の姿態を仏の姿に写しとる。その手にあるのは鑿一つ。荒ぶる野心、快慶との確執、飽くなき美の追求。だが絶頂期、病が襲った……。戦乱渦巻く時代に、美と祈りのはざまで格闘し続けた天才のすべてを描く渾身の歴史小説。
(「内容紹介」より)
第22回(2016年)
朝井まかて : 眩
偉大すぎる父・北斎、兄弟子・渓斎英泉への叶わぬ恋、北斎の名を利用し悪事を重ねる甥―人生にまつわる面倒ごとも、ひとたび筆を握れば全て消え去る。北斎の右腕として風景画から春画までをこなす一方、自分だけの光と色を終生追い続けた女絵師・応為。自問自答する二十代から、傑作「吉原格子先之図」に到る六十代までを、圧倒的リアリティで描き出す。
(「BOOK」データベースより)
第21回(2015年)
風野真知雄 : 沙羅沙羅越え
戦国時代末期。越中の佐々成政は、天下取り最中の秀吉の野望を挫くため、孤軍奮闘していた。八方ふさがりの中、成政は、秀吉に対する徹底抗戦を家康に懇願しようと決意。敵地を避けて家康に会うには、厳冬期の飛騨山脈を越える必要があった。何度でも負けてやる―天下ではなく己の目前の道を見据えた、愚直な戦国武将。その悲哀と苦悩、誇り高き生き様を描いた本格歴史小説。第21回中山義秀文学賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第20回(2014年)
伊東潤 : 峠越え
人の運は紙一重。切所を見極め、悔いなく生きよ―今川、武田、織田と強大な勢力が重石のようにのしかかる三河。部下にも呆れられる凡庸な武将家康には、越えるべき峠がいくつもあった。家康はなぜ天下人になれたのか?本能寺の衝撃の真相とは?剛腕・伊東潤が家康生涯最大の切所「伊賀越え」に挑む!
(「BOOK」データベースより)
第19回(2013年)
天野純希 : 破天の剣
群雄割拠の戦国時代、九州は薩摩の戦国大名・島津貴久の四男として生まれた家久。若年の頃より祖父・島津忠良から「軍法戦術に妙を得たり」と評価されるほどの戦上手であった。一方、兄弟の中で家久一人が母親の違う出自の為に、その深い悩みを抱えていた。その思いを払拭するかのように家久は、豊後・大友宗麟、肥前・竜造寺隆信という名だたる大大名を打ち破り、島津氏の九州統一に活躍をみせる。しかし、時の権力者、豊臣秀吉と弟、秀長がその前に立ちふさがり、島津は20万を超える豊臣の大軍と戦うことになる・・・・・・。九州の覇権争いの中で、島津に現れた猛将・島津家久。戦国きっての戦上手で孤高の漢による戦の攻防、そして兄弟との葛藤、波乱に満ちた生涯を、気鋭の作家が描く! !
(「内容紹介」より)
第18回(2012年)
西條奈加 : 涅槃の雪
町与力の高安門佑は、新任の北町奉行・遠山景元の片腕として市井の取締りに励む毎日だ。その最中、元遊女のお卯乃を屋敷に引き取る。お卯乃との生活に安らぎを覚える門佑だったが、老中・水野忠邦が推進する天保の改革は、江戸を蝕み始めていた。改革に反対する遠山らと水野の鬩ぎ合いが苛烈を増す中、門佑は己の正義を貫こうとするが――。爽やかな傑作時代小説。
(「内容紹介」より)
第17回(2011年)
澤田瞳子 : 孤鷹の天
藤原清河の家に仕える高向斐麻呂は、唐に渡ったまま帰国できぬ父を心配する娘・広子のために唐に渡ると決め、大学寮に入学した。儒学の理念に基づき、国の行く末に希望を抱く若者たち。奴隷の赤土に懇願され、秘かに学問を教えながら友情を育む斐麻呂。そんな彼らの純粋な気持ちとは裏腹に、時代は大きく動き始める。デビュー作にして中山義秀文学賞を最年少受賞した傑作、待望の文庫化。
(「BOOK」データベースより)
第16回(2010年)
上田秀人 : 孤闘 立花宗茂
知勇にすぐれる戸次道雪の娘誾千代と縁づいたことで、立花宗茂の「戦国九州三国志」が始まった――。大友家臣としての島津家との死闘、豊臣秀吉政権下での朝鮮従軍を経て、関ヶ原へ。誾千代との葛藤の中で奮闘し、天下人に「剛勇鎮西一」と恐れられた稀代の猛将の懊悩を精緻に描いた、第十六回中山義秀文学賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第15回(2009年)
植松三十里 : 彫残二人
林子平は女彫師のお槇とともに、老中・松平定信の追っ手から逃れ隠れて『海国兵談』の版木を彫り続けるが、お槇を連れた逃避行は日ごと過酷なものに…。二人の魂が彫り込まれた版木の行方は。気鋭が贈る感動の書き下ろし歴史小説。
(「BOOK」データベースより)
第14回(2008年)
岩井三四二 : 清佑、ただいま在庄
室町後期、荘園の新代官として赴任することになった僧の清佑。村のものどもを愛子と思った撫育するよう老師から言われたが、村人たちは一筋縄ではいかない。食うや食わずの生活では、どんな手を使っても生きのびることが第一なのだ。寺で純粋培養され、理想に燃える代官と、代官でさえうまく利用しようとするしたたかな村人たち。清佑の一方通行とも見える彼らへの思いは実を結ぶのか。第14回中山義秀文学賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第13回(2007年)
火坂雅志 : 天地人
戦国の世、越後上杉家中の樋口与六は、若くして長尾喜平次の小姓となった。五歳の歳の差を超え、二人は肝胆相照らす名コンビとなる。後の直江兼続と上杉景勝である。二人は上杉謙信の許で薫陶を受け、精神を学び、謙信亡き後の越後の維持に努めていた頃、京より、織田信長が明智光秀に討たれたという本能寺の変の一報が届く。
(「BOOK」データベースより)
第12回(2006年)
池永陽 : 雲を斬る
父の仇を江戸の町に追う由比三四郎は、ある日、女郎屋に売られる娘おさとを助けた。しかし人買いの恨みを買い、首に五十両の賞金をかけられてしまう。次々と挑んでくる刺客、朋友の僧・快延、鳥舟で空を飛ぼうとする若者、妙に人なつっこい人買い―多彩な人間模様の中から、やがて仇討ち相手が見え隠れし始める。第12回中山義秀文学賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第11回(2005年)
安部龍太郎 : 天馬、翔ける
奥州に身を寄せる義経と伊豆へ流人となっていた頼朝―都より来た平家追討の令旨は、二人の源氏の運命を一転させた。黄瀬川で対面を果たし、平家打倒に力を合わせる兄弟。しかし、俘囚の王・藤原秀衡の庇護の下、天性の武勇を磨き抜いた弟と東国武士・舅の北条時政に翻弄されながら冷徹なる政略を道具とした兄には、すでに埋めがたい溝があった。源平合戦の歴史像を塗りかえた傑作。中山義秀文学賞受賞。
(「BOOK」データベースより)
第10回(2004年)
乙川優三郎 : 武家用心集
不自由な武家社会の中で、不測の事態を切り抜けてゆく人々を描く小説集。郡奉行の一人だった半右衛門は罪を犯した友人の逃亡を助けたために罰を受ける。その後の不遇と人間不信から立ち直る男を描く「田蔵田半右衛門」、種痘術を学び国元に戻った青年医師が、将来を約束していた女性の変貌と向き合う「向椿山」など、いずれも繊細な言葉と、静謐な筆致で紡ぐ短編八編を収録。
(「BOOK」データベースより)
第9回(2003年)
竹田真砂子 : 白春
赤穂藩京留守居役・小野寺十内と妻女・丹。ふたりの日々を通して描く忠臣蔵。
(「BOOK」データベースより)
第8回(2002年)
杉本章子 : おすず 信太郎人情始末帖
おすずという許嫁がありながら、子持ちの後家と深みにはまり、呉服太物店を勘当された総領息子の信太郎。その後おすずは賊に辱められ、自害して果てた。「一度だけ」とおすずが身を預けてきたあのとき、願いをきいてあげていたら…後悔の念を抱きながら、信太郎は賊を追う―。平成14年度中山義秀文学賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)
第7回(2001年)
宇江佐真理 : 余寒の雪
男髷を結い、女剣士として身を立てることを夢見る知佐。行く末を心配した両親が強引に子持ちの町方役人と祝言を挙げさせようとするが―。幼子とのぎこちない交流を通じ次第に大人の女へと成長する主人公を描いた表題作他、市井の人びとの姿を細やかに写し取る六篇。中山義秀文学賞受賞の傑作時代小説集。
(「BOOK」データベースより)
第6回(2000年)
飯嶋和一 : 始祖鳥記
空前の災厄続きに、人心が絶望に打ちひしがれた暗黒の天明期、大空を飛ぶことに己のすべてを賭けた男がいた。その“鳥人"幸吉の生きざまに人々は奮い立ち、腐りきった公儀の悪政に敢然と立ち向かった――。
(「内容紹介」より)
第5回(1997年)
高橋直樹 : 鎌倉擾乱
臆病な本性を隠し、権謀術数の末、内管領にまでのぼりつめた平頼綱の数奇な運命……。「異形の寵児」など三篇。第五回中山義秀賞受賞
(「内容紹介」より)
第4回(1996年)
佐江衆一 : 江戸職人綺譚- 再読度 ☆:読後感 ☆
当世の流行に逆らい、地味な鳶凧作りにこだわり続ける貧乏凧師、定吉。しかし、女房のおみねはまるで糸の切れた凧のように商売敵の男のもとへ…。定吉は、角凧作りを得意とする花形凧師銀次に、おみねを賭けた喧嘩凧を挑む。喧嘩凧では絶対不利の鳶凧を手に―。凧師をはじめ、化粧師、人形師など、江戸の生活を彩ったさまざまな職人たちの人間模様を丹念に織り上げた傑作短編集。
(「BOOK」データベースより)
第3回(1995年)
大島昌宏 : 罪なくして斬らる 小栗上野介
激動の幕末期。列国の外圧、台頭する西南雄藩、反幕府的な勝海舟らと対峙し、財政、外交、軍事に傑出した手腕を発揮した幕閣・小栗上野介忠順。横須賀造船所を建設し、日本海軍の礎を築いた先見と決断の人が何故斬首されねばならなかったのか…。第三回中山義秀文学賞受賞の傑作長編小説。
(「BOOK」データベースより)
第2回(1994年)
堀和久 : 長い道程
「予は、いずれ老中になる。そちは、勘定奉行じゃ」十五歳の田口喜行は一つ年上の水野忠邦にそう見込まれるが、やがて二人は別々の道を歩み始めた。弱小旗本から勘定奉行にまで異例の出世を果たした喜行の愚直なまでの生き方を通して、武士の本懐とは何かを追求した歴史長編。第二回中山義秀文学賞受賞。
(「BOOK」データベースより)
第1回(1993年)
中村彰彦 : 五左衛門坂の敵討
幕末という激動する時代の大波の陰に秘められた会津藩士の敵討を描いた表題作をはじめ、歴史に埋もれようとする志ある男たちの生き方を掘り起こした歴史小説集。
(「内容紹介」より)