アガサ・クリスティー賞受賞作
アガサ・クリスティー賞はミステリの女王と呼ばれるアガサ・クリスティーの生誕120周年を記念して、早川書房と公益財団法人早川清文学振興財団が英国アガサ・クリスティー社の公認を得て2010年に設立した長編推理小説の公募新人賞です。
マリス・ドメスティックが主宰するアメリカのミステリィ文学賞「アガサ賞」と混同しがちですが、全く別の賞です。
以下は受賞作の一覧です。
第14回(2024年)
睦月準也 : マリアを運べ
17歳の運び屋の風子に、ある荷物を運んでほしいという依頼が持ち込まれた。一度走った道をすべて記憶している風子は、持ち前の運転技術を活かして長野県の諏訪を目指す。ヤクザや新興宗教、某国のスパイまでもが荷物を狙うなか、彼女は依頼を完遂できるのか
(「内容紹介」より)
第13回(2023年)
葉山博子 : 時の睡蓮を摘みに
1936年、旧弊な日本を逃れ、父が綿花交易を営む仏領インドシナで地理学を学ぶ滝口鞠は、外務書記生の植田や、暗躍する商社マンの紺野、憲兵の前島らとの関わりにより、非情なる植民地の現実に触れていく。世界大戦の時代を生きる、ひとりの日本女性の運命は?
(「内容紹介」より)
第12回(2022年)
西式豊 : そして、よみがえる世界。
脊損の脳神経外科医の牧野は、医療テック企業役員の元指導医に依頼され、視覚を失った少女エリカへの視覚再建装置〈バーチャライト〉埋設を代理執刀する。脳内インプラント〈テレパス〉を用いたオペは成功したものの、彼女は黒い幻影に脅かされるようになる。
(「内容紹介」より)
第11回(2021年)
逢坂冬馬 : 同志少女よ、敵を撃て
1942年、独ソ戦のさなか、モスクワ近郊の村に住む狩りの名手セラフィマの暮らしは、ドイツ軍の襲撃により突如奪われる。母を殺され、復讐を誓った彼女は、女性狙撃小隊の一員となりスターリングラードの前線へ──。第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。
(「内容紹介」より)
第10回(2020年)
そえだ信 : 地べたを旅立つ 掃除機探偵の推理と冒険
( 受賞時 / 地べたを旅立つ )
鈴木勢太、性別男、33歳。未婚だが小学5年生の子持ち。北海道札幌方面西方警察署刑事課勤務……のはずが、暴走車に撥ねられ、次に気づいたときには……「スマートスピーカー機能付きロボット掃除機」になっていた! しかもすぐ隣の部屋には何故か中年男性の死体が。どんなに信じられない状況でも、勢太には諦められない理由があった。亡き姉の忘れ形見として引き取った姪・朱麗のことだ。朱麗の義父だった賀治野は、姉と朱麗に暴力を働き接近禁止命令が出ていたが、勢太がそばを離れたとわかったら朱麗を取り戻しにやってくる。勢太の目覚めた札幌から朱麗のいる小樽まで約30キロ。掃除機の機能を駆使した勢太の大いなる旅が始まる。だが、行く手にたちはだかる壁、ドア、段差! 自転車、子ども、老人! そして見つけた死体と、賀治野と、姉の死の謎! 次々に襲い掛かる難問を解決して小樽に辿り着き、勢太は朱麗を守ることができるのか。
(「内容紹介」より)
第9回(2019年)
折輝真透 : それ以上でも、それ以下でもない
1944年、ナチス占領下のフランス。 中南部の小さな村サン=トルワンで、ステファン神父は住民の告解を聞きながらも、集中できずにいた。昨夜、墓守の家で匿っていたレジスタンスの男が、何者かによって殺されたのだ。 祖国解放のために闘うレジスタンスの殺害が露見すれば、住民は疑心暗鬼に陥るだろう。戦時下で困窮する村がさらに混乱することを恐れたステファン神父は、男の遺体をナチスに襲撃された隣町に隠し、事件の隠蔽をはかる。 だが後日、ナチス武装親衛隊のベルトラム中佐がサン=トルワンを訪れる。レジスタンスが匿われていると信じる住民にも、目的が判然としないベルトラム中佐にも、ステファン神父は真実を告げることができない……。 孤独に葛藤し、村を守るため祈り続けた神父が辿り着いた慟哭の結末とは。
(「内容紹介」より)
第9回(2019年)
穂波了 : 月の落とし子
( 受賞時 / 月よりの代弁者 )
それは人間の進歩を証明する、栄光に満ちたミッションのはずだった――。新しい時代の有人月探査「オリオン計画」で、月面のシャクルトン・クレーターに降り立った宇宙飛行士が吐血して急死する。死因は正体不明のウイルスへの感染……!?生き残ったクルーは地球への帰還を懸命に試みるが、残酷な運命に翻弄されて日本列島へ墜落する――致死性のウィルスと共に……。空前絶後の墜落事故!そして未曾有のバイオハザード!極限状況の中で、人間は人間自身を救い希望を見出すことができるのか。クリスティー賞史上、最大のスケールで描かれる超災害ミステリ。
(「内容紹介」より)
第8回(2018年)
オーガニックゆうき : 入れ子の水は月に轢かれ
入れ子の水は月に轢かれ
(「内容紹介」より)
第7回(2017年)
村木美涼 : 窓から見える最初のもの
心療内科に通う女子大生、購入した油絵の真贋を疑う経営者、喫茶店の物件探しを依頼された不動産屋の女性、自分の名前を騙った失踪人に戸惑う会社員。年齢も性別も境遇もちがう4人の人生に待ち受けていたのは……細部の描写、精緻な構成が光る日常のミステリ
(「内容紹介」より)
第6回(2016年)
該当作なし
第5回(2015年)
清水杜氏彦 : うそつき、うそつき
国民管理のために首輪型嘘発見器着用が義務付けられた世界。少年フラノは非合法の首輪除去で日銭を稼ぐ。強盗犯、痣のある少女、詐欺師など依頼人は様々で危険は日常茶飯事だ。だが彼にはある人のためにどうしても外したい首輪があった。それがフラノを首輪と彼自身の秘密へ導く……愛を乞う少年が辿り着く衝撃の結末とは?
(「内容紹介」より)
第4回(2014年)
松浦千恵美 : しだれ桜恋心中
( 受賞時 / 傀儡呪 )
若手文楽人形遣いの屋島達也は、師匠・吉村松涛のもとで充実した修業の日々をおくっていた。そんなある日、達也は怪しげな魅力を持つ花魁の文楽人形「桔梗」を見つける。桔梗は『しだれ桜恋心中』という演目専用に 作られた、特別な人形らしい。だが、約60年前に『しだれ桜恋心中』が上演された際、技芸員が次々と不審死を遂げていたことを知り、達也は桔梗に近づくことを恐れはじめる。一方、補助金削減問題に揺れる日本文楽協会は、『しだれ桜恋心中』を呪いの演目として興行し、観客を呼びこもうとするが……。一つの演目に込められた想いが引き起こす悲劇を描いた、第4回アガサ・クリスティー賞受賞作
(「内容紹介」より)
第3回(2013年)
三沢陽一 : 致死量未満の殺人
( 受賞時 / コンダクターを撃て )
雪に閉ざされた山荘で、女子大生・弥生が毒殺された。容疑者は一緒に宿泊していた同じ大学のゼミ仲間4人――龍太、花帆、真佐人、圭。外の世界から切り離された密室状況で、同じ食事、同じ飲み物を分け合っていたはずなのに、犯人はどうやって弥生だけに毒を飲ませることができたのか。警察が到着するまで、残された4人は推理合戦を始める……15年後、雪の降る夜。花帆と夫の営む喫茶店を訪れたのは、卒業以来、音信不通の龍太だった。あと数時間で時効を迎える弥生の事件は、未解決のまま花帆たちの人生に拭いきれない影を落としていた。だが、龍太はおもむろに告げる。「弥生を殺したのは俺だよ」たび重なる推理とどんでん返しの果てに明かされる驚愕の真相とは?
(「内容紹介」より)
第2回(2012年)
中里友香 : カンパニュラの銀翼
1920年代後半の英国。 エリオットには秘密があった。 資産家の子息の替え玉として名門大学で学び、目が見えなくなった「血のつながらない妹」のため、実の兄のふりをして通いつめる日々。 そんなエリオットの元に、シグモンド・ヴェルティゴという見目麗しき一人の男が現れる。 《脱け出したくばね、必要なのは概念の改革だよ。エリオット・フォッセー》 もの憂い眩暈。純粋な美。エレガントな悪徳。高貴な血に潜んでいる病んだ「真実」 精緻な知に彩られた、めくるめく浪漫物語。
(「内容紹介」より)
第1回(2011年)
森晶麿 : 黒猫の遊歩あるいは美学講義
でたらめな地図に隠された意味、しゃべる壁に隔てられた青年、川に振りかけられた香水、現れた住職と失踪した研究者、頭蓋骨を探す映画監督、楽器なしで奏でられる音楽……日常に潜む、幻想と現実が交差する瞬間。美学・芸術学を専門とする若き大学教授、通称「黒猫」と、彼の「付き人」をつとめる大学院生は、美学とエドガー・アラン・ポウの講義を通してその謎を解き明かしてゆく。
(「内容紹介」より)