アマンダ・クイック「琥珀の瞳に恋を賭けて」☆☆
冷酷で自分勝手で放蕩者の伯父から爵位と荒れ果てた地所を相続したストンヴェイル伯爵ルーカス・マロリー・コールブルックは、地所を実り豊かな土地に変えて貧困にあえぐ村人たちの暮らしを立て直すために、多額の持参金がある裕福な令嬢と結婚することを決めていた。
昔の恋人で今はロンドンの社交界に強い影響力を持つ子爵夫人ジェシカ・アサートンに頼んでリストアップした候補者の中から、ルーカスが目をつけたのは莫大な相続財産を持つ令嬢ヴィクトリア・クレア・ハンティントンだった。
しかし24歳になるヴィクトリアは、自分に求婚してくる男性は全て財産が目当てで、女性が結婚して得られるものなど何もないと信じ、結婚などサラサラする気はない。
未亡人となった母と財産目当てで結婚した継父は、飲んだくれの放蕩者で、母の財産を勝手に使い、母に暴力を振るうロクでなしだった。
今は母も継父も亡くなり、ヴィクトリアは様々な学問に造詣が深い叔母の屋敷で、自分の思う通りに暮らしている。
しかし探究心が旺盛で冒険心にあふれるヴィクトリアは、男性と同じように楽しみたいと、夜間に行われる祭りに出かける計画を立てる。
それを知ったルーカスは強引にヴィクトリアに付き添ったが、祭りで起きたハプニングを巧みに切り抜けたことから、ヴィクトリアとさらなる冒険に出かけることを約束させられる。
財産が目当てのはずがヴィクトリアに惹かれていくルーカスと、危険な男だと思いながらルーカスに惹かれるヴィクトリア。そして何者かがヴィクトリアを狙う・・・。
1990年台の作品ということで、アマンダ・クイックの比較的初期のヒストリカル・ロマンスです。
独立自尊で思いやりがあって風変わりなヒロインと、プライドが高く頑固者でありながらも柔軟な考え方の持ち主でもあるヒーローのロマンスに、主人公を狙う悪意を描いているのはアマンダ・クイックらしい感じで管理人はやっぱり好き。
サスペンスの風味がありながらも、ドキドキするようなこともなく平穏に物語が進む点も平和で良いけど、まぁ物足りないと思う人の方が多いかも知れませんね。