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アマンダ・クイック「炎の古城をあとに」の感想です。

アマンダ・クイック「炎の古城をあとに」☆☆

炎の古城をあとに

19世紀のイギリス、寂れた古城にある女子専門の寄宿学校に赴任したばかりの女性教師コンコーディアは、上流階級の出身だが身寄りをなくし孤児となった4人の生徒たちを連れて、古城から逃げ出そうとしていた。

突然行方が分からなくなったコンコーディアの前任教師、自分と生徒たちを監視しているような人相の悪い庭番の男たち、そしてロンドンから来た暗黒街の雰囲気を漂わす男たち。どう見てもここでは良からぬことが起きている。

わざと火事騒ぎを起こし、その隙に城から抜けだそうと目論んだコンコーディアだったが、それを察知した屈強な用心棒に捕まってしまう。

もうダメかと思った時に突如現れ、彼女たちを救ってくれたのは、私立探偵のアンブローズだった。

生徒たちを守り、危険な追っ手の目から逃れるため、コンコーディアはアンブローズの申し出に甘えて4人の女子生徒とともに彼の邸宅に向かう。


自由論者の両親に育てられたという女性教師コンコーディアと、忍び込んだ屋敷の主に正しい道を示され泥棒少年から紳士に変貌した探偵アンブローズのユーモラスに展開されるロマンスを描いています。

二人をくっつけようと考える4人の個性的な少女たちやアンブローズの恩人にあたる人物など、敵役以外の登場人物が善意の人ばかりで、そういう人たちの手を借りながら、アンブローズとコンコーディアは生徒たちを食いものにしようと企む暗黒街の帝王に迫ります。

深く考えずに楽しめる軽い感じのヒストリカル・ロマンスで、ハラハラドキドキ感はあまりありませんが、そこがアマンダ・クイックらしいと言えばらしくて、管理人は嫌いではありません。