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アマンダ・クイック「その言葉に愛をのせて」の感想です。

アマンダ・クイック「その言葉に愛をのせて」☆☆

その言葉に愛をのせて

秘書派遣会社を経営している女性アーシュラ・カーンは、部下であり親友でもあったアンが突然死んだことで、身寄りのないアン・クリフトンの葬儀をあげ遺品の整理をしていた。

アンは健康で自宅で突然死することなど考えられず、アンの家政婦から連絡を受けたアーシュラは警察に通報したが、現場を見た刑事は犯罪の痕跡もないことで事件性はないと判断した。

しかしアンの遺品を整理している中で、アンが独自の速記で書いたメモから、アンが便器の裏に隠した物を見つけたアーシュラは、アンが何者かに殺された事を確信する。

アンのために犯人を見つけなくては・・・そう決意したアーシュラは、自らが秘書を勤めている貴族の庶子で裕福な男性スレイター・ロクストンに契約の解除を告げに出向いた。

しかしアーシュラを気に入っているスレイターは契約解除の理由を問い質し、スレイターの鋭い追及に抗しきれなくなったアーシュラは、アン殺害の真相を究明するために、アンの派遣先であったレディ・フルブルックの元に行ってアンの仕事を引き継ぐ積もりだと話す。

無謀な計画だと語るスレイターにアーシュラは怒りを表すが、スレイターはアーシュラに協力して事件の真相を探ることを密かに決めていた。


まだ自立する女性が珍しかった時代のイギリスで、秘書派遣業として成功しているアーシュラと、貴族の庶子で亡き父の爵位や財産を引き継ぐ権利はないものの、財産の唯一の受託者に指定されているスレイター。実はお互いに人には言えない秘密を抱えている。

そんな二人が殺人事件の真相を探るうちに結ばれていく様子を描いたロマンチック・サスペンス小説ですが、アマンダ・クイックらしい風変わりなコンビのお互いへの気持ちへの思いが楽しめます。

スレイターの周囲の人物たちのスレイターへの態度が、アーシュラが絡むことによって変化していくのもロマンス小説らしくて良いですね。

一応は殺人事件の犯人を探す物語になっていますが、それ程深い話ではなく、犯人も大体見当がつきます。管理人にはこの位の話の方が気楽で良いですね。