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アマンダ・クイック「隻眼のガーディアン」の感想です。

アマンダ・クイック「隻眼のガーディアン」☆☆☆

隻眼のガーディアン

貿易商として大きな成功を収めたチルハースト子爵ジャレット・ライダーは、見た目は黒いアイパッチで片目を覆った凶悪な海賊のようだが、実際には教養豊かで冷静沈着な男性。

イギリスの海賊キャプテン・ジャックの血をひくという冒険好きで血気盛んな一族の者の中で、ただ一人理性的で自分を見失う事のない彼は、一族の面々から面白みに欠ける退屈な男と思われている。

そんなジャレットは旅先で知り合った男性ウィングフィールドから、一族が昔から探していた曾祖母の日記が、ウィングフィールドの姪でイギリス探検旅行学会に所属するオリンピアという女性の手に渡る事を聞いた。

曾祖母の日記には曾祖母の夫が隠した莫大な財宝の眠る場所が、暗号で書かれていると伝えられている。

ジャレット自身は半信半疑ながら、一族の悲願を叶えるためにジャレッドは、その日記を譲ってもらうべくオリンピアの館に出向いた。

そこで出会ったオリンピアは、好奇心にあふれ、幼い甥を3人抱えながらも活き活きと生活している美しい独身女性で、ジャレッドはひと目でオリンピアに惹かれてしまい、子爵の身分を隠しウィングフィールドに雇われて甥たちの家庭教師として来たと偽って、オリンピアの屋敷に暮らすことを決める。


自分を世情にたけた女性だと言いながら人が良く世間知らずで少しそそっかしいオリンピアと、両親を亡くしてから情緒が不安定の腕白盛りの3人の甥たちが、厳格な中にもユーモアを忘れず、世界中でさまざまな経験をしてきた冒険者ジャレッドに惹かれていく有様が楽しいヒストリカル・ロマンスです。

ジャレッドを狙う正体不明の黒い影が登場したり、ジャレッドの元婚約者やその弟が登場したり、何やら大事件が起こりそうな雰囲気を漂わせながら、全体的には平和でストレートなロマンスが展開されて、安心して楽しめる小説で面白かったです。