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アマンダ・クイック「告白はスイートピーの前で」の感想です。

アマンダ・クイック「告白はスイートピーの前で」☆☆

告白はスイートピーの前で

伯爵家の庶子として生まれ育ったバクスター・セント・アイヴスは、化学者として一人静かに生きることを決めていた。

しかし母方の叔母から、彼女の親友が殺害された事件を解明して欲しいと頼まれ、叔母が犯人だと決めつけている謎めいた女性シャーロット・アーケンデールの事務家兼用心棒として雇われる。

バクスターはシャーロットと行動を共にしているうちに、殺害された女性はシャーロットの顧客であり、シャーロットもまた事件の謎を追いかけている事を知る。

シャーロットと協力して事件の真相を究明した方が良いと判断したバクスターは、自分の身分と目的を打ち明け、二人が自然に協力できるようシャーロットを婚約者として公表することにするが、実は二人は初めて会った時からお互いに惹かれ合っていた。

行動をともにするうちに本当の恋人同士になってしまう二人だったが、お互いに愛情を打ち明けられずに屈折した日々をおくる。

そうした中で事件は意外な進展を見せていき・・・。


こういったロマンス小説には珍しく、主人公バクスターは地味で大人しくて目立たない化学オタクの青年という設定になっています。

しかしバクスターの内に秘めた情熱を一目で見破るのは、独創的な発想で自分の生きる道を切り開いてきた風変わりなヒロインのシャーロット。

かくして自分に自信がなく、こんな自分がシャーロットに愛されるはずがないと思い込んでいるバクスターと、バクスターの言動から事件が解決したら二人は別れるものだと思いこんでいるシャーロットのおかしな恋物語が展開されていきます。

庶子に生まれたが故に云々というのは、ヒストリカル・ロマンスではけっこう有りがちな設定ですが、アマンダ・クイックの作品は主人公たちが独特の明るさとボケを発揮して、それが心地良くてついつい読みたくなってしまいます。