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アマンダ・クイック「禁断のリング」の感想です。

アマンダ・クイック「禁断のリング」☆☆

禁断のリング

地方の古びた屋敷に引き籠って隠者のように暮らしているモンクレスト伯爵レオは退屈していた。

考古学に造詣が深く世間で「怪僧」と呼ばれているが、まだ40歳なのに妻は亡くなり子供たちも大きくなって独立し、今は一人暮らしの日々を過ごす。

そんな彼のもとに、妙齢で活き活きとした女性ベアトリスが現れ、伝説の「アフロディーテの禁断のリング」について教えを乞うて来た。

女流ゴシック・ホラー小説家のベアトリスは、持参金不足で危うくなった従妹の結婚をすすめるために資金を必要としていた。

本来なら一族で唯一資産家の叔父の援助がある筈なのだが、その叔父が亡くなり、叔父がひと財産を使って入手したはずの「アフロディーテの禁断のリング」の行方が分からない。

「禁断のリング」探しには危険が伴う事を指摘するレオだったが、何としてもリングを見つけ出したいベアトリスの決意は固く、退屈を持て余していたレオはベアトリスに協力すべく、彼女と共にロンドンに向かう事を決める。


「ロマンチック・ホラー小説」とか内容紹介で書かれていますけど、ホラーという感じは全くしません。

リングの由来とか、ベアトリスの叔父の死因が怪しいとか、サスペンスの要素はありますし、霧に包まれたロンドンにはそれなりの雰囲気は感じられますけど、アマンダ・クイックのロマンス小説にホラーは似合いません。

ベアトリスは常に前向きで勇ましくて愉快だし、「怪僧」などと呼ばれるわりにはベアトリスの行動におどおどするレオが好人物過ぎて可笑しい。

面白い作品でした。