アマンダ・クイック「胸の鼓動が溶けあう夜に」☆☆
ニューヨーク社交界の花形と言われたヘレン・スペンサーの個人秘書アナ・ハリスは、ある夜ヘレンの寝室で、彼女の死体と死ぬ間際にヘレンがアナに残した「逃げて」という血文字を発見する。
本能のまま、アナは旅行鞄に貯めておいた現金とヘレンが殺された原因となったらしい手帳を詰めて、西海岸まで逃走した。
名前をアイリーン・グラッソンと変えて、ハリウッドのゴシップ紙の記者として働き始めたアナだったが、新進人気スターのニック・トレメインに纏わるスキャンダルの情報提供者グロリアと会うはずが、バーニング・コーヴ・ホテルのプールで溺死体となったグロリアを発見し、しかも暗がりの中で殺人犯に襲われそうになる。
その場を何とか切り抜けたアイリーン(アナ)は、ニックが事件に関係しているはずと調査を始め、自分のホテルで起きた事件の真相を知りたいというホテル・オーナーのオリヴァー・ウォードもアイリーンに協力を申し出る。
オリヴァーの協力を得てニックの周辺を調査するうちに、ニックに関わった女性たちが溺死していた事を知るアイリーンだが、ハリウッドで巨大な権力を握る映画会社がアイリーンの取材を止めようと強引な手段を取り始め、更にアイリーンが手帳を持って逃走した秘書だと知った勢力が西海岸に魔の手を伸ばし始めて・・・。
映画産業黎明期のハリウッドを舞台にしたロマンチック・サスペンス小説です。
気が強いしっかり者のアイリーンと元人気マジシャンのオリヴァーが、協力して事件の真相究明にあたるうちに惹かれ合っていくという物語ですが、ロマンス部分は比較的軽い感じです。
それ程深みのある作品ではありませんし、犯人の見当も概ね付きますし、ハラハラ・ドキドキするような事もあまりないけど、サクサク読める感じが管理人は好きですね。