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アマンダ・クイック「エメラルドグリーンの誘惑」の感想です。

アマンダ・クイック「エメラルドグリーンの誘惑」☆☆

エメラルドグリーンの誘惑

地方貴族の娘ソフィーはレイヴンウッド伯爵ジュリアン・シンクレアからの求婚を断っていた。

豊かではない家の23歳になっても独身の娘は、この求婚を受けるべきだという周囲の声も気に入らないし、ジュリアンの求婚の理由も気に入らない。

実はソフィーはジュリアンから望まれて、愛を込めての求婚を望んでいた。何故なら放埓だった先妻を殺害したとも噂される程気性の激しいジュリアンに、以前から想いを寄せていたから。

しかしジュリアンがソフィーに求婚する理由は、子供を作って平穏な毎日を過ごしたいというもの。

ジュリアンからの愛の言葉が欲しくて、彼の求婚を断り続けていたソフィーだったが、それは望めないと悟ると、いつか彼と真の愛を育もうと密かに考えて、ついに求婚を受けいれる。

しかしジュリアンとの将来を考える事とは別に、ソフィーには彼女の妹を誘惑し死に至らしめた謎の男を見つけ出し、その男に復讐するという目的があった。


ソフィーは絶世の美人というわけではありませんが、けなげで明るく一途な性格で、前妻の不貞に悩まされたトラウマを抱えるジュリアンの心を徐々にとりこにしていきます。

裕福で傲慢な貴族と、比較的貧しくて美人でもないが人となりを知るに従って内面の美しさが表に現れてくる女性との関係や、名誉だの何だのとジュリアンとソフィーがお互いに主張する場面など、ユーモラスなヒストリカル・ロマンスの雰囲気が楽しめます。

サスペンスという調味料を少しは使っていますけど、全体的に明るく楽しい気分になれるのがアマンダ・クイック作品の良いところですね。