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アマンダ・クイック「誓いの口づけはヴェールの下で」の感想です。

アマンダ・クイック「誓いの口づけはヴェールの下で」☆☆

誓いの口づけはヴェールの下で

裕福なクラリントン伯爵家の次女フィービーは、自分に求愛したニール・バクスターが南洋で海賊に殺害されたという話に心を痛めていた。

ニールはフィービーに愛を求めたが、フィービーにはニールが良い友人としか思えず、そのことが原因でニールが英国を離れて殺害されたと思い込んだフィービーは、ニールの死には自分にも非があるように思え、ニールを殺害した海賊を探し出そうと決意していた。

その調査に協力を依頼しようとフィービーが見定めたのは、フィービーと同様に古書収集が趣味で、しかも別名で評判の冒険小説を書いているワイルド伯爵ガブリエル。

ガブリエルはまだ爵位を継ぐ前に、フィービーの姉メレディスと駆け落ちした過去があったが、まだ少女だったフィービーはアーサー王時代の騎士のように気高い男性としてガブリエルに憧れていた。

しかしガブリエルはクラリントン伯爵家に恨みを抱いていた。一つには望まぬ結婚から救い出したはずのメレディスの心変わり、一つにはメレディスの資産を狙う貧しい男として軽んじられた事、また一つにはクラリントン伯爵がガブリエルを破産させ英国から追いやった事。

南洋で一念発起して莫大な財産を築いたガブリエルは、何としてでもクラリントン伯爵に一泡吹かせようと策を練っていたが、そこにフィービーが現れたことからフィービーを利用しようと思いつく。

しかしフィービーと共に行動するうちに、ガブリエルはフィービーの魅力に囚われてしまい・・・。


アマンダ・クイックらしい思い込みが激しく行動的な変わり者の女性と、そんな女性にいつの間にか振り回されていく世慣れた男性のロマンスを中心にしたヒストリカル・サスペンスです。

少し趣の異なる2つの物語が描かれているような感じで、前半は復讐を果たそうとして果たせないガブリエルの物語、後半はフィービーを狙う影の物語になっています。

サスペンス風味のロマンス小説ですが、それ程凝っていないし、何より全体的に明るいのが良いですね。

ただ何作もアマンダ・クイック作品を読んでいると、どうしても似通った話になるので、読み始めの頃の面白さがなかなか感じられないのが残念です。