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アマンダ・クイック「恋の始まりは謎に満ちて」の感想です。

アマンダ・クイック「恋の始まりは謎に満ちて」☆☆

恋の始まりは謎に満ちて

ヴィクトリア時代のロンドンで暮らす20代なかばの未婚女性カリスタ・ラングリーは、弟のアンドルーと二人で祖母から相続した由緒ある大邸宅を利用して、身元のしっかりとした会員向けのパートナー紹介サロンを経営していた。

まだ少女の頃に両親を失い、両親の結婚に反対していた情の薄い祖母に引き取られ、恵まれない生活をしてきたカリスタだったが、裕福だと思っていた祖母が死んだ時に残した遺産は、広大な敷地に立つ古びた邸宅だけ。

そこでカリスタは、見た目は豪壮な邸宅を利用することで信用を得て、財産目当てなどの邪心を持たずに純粋に出会いを求めている男女を相手にしたサロンを経営するようになったのだが、そんなカリスタの元に気味の悪い贈り物が届き始めた。

はじめは誰かのいたずらだろうと思っていたカリスタだったが、何者かが自宅の寝室に忍び込んだ事がわかり不安が高まる。

更になぜか、1年以上も前に別れた元恋人ネスター・ケタリングがよりを戻そうとカリスタに言い寄ってくる。

女性を騙す手管に長けたネスターは、豪華な邸宅に暮らすカリスタを裕福な家の娘だと誤解して付き合い始めたが、カリスタに財産がないことが分かると、彼女を捨てて別の裕福な令嬢と結婚した卑劣な男だった。

当然、カリスタにはそんなネスターとよりを戻すつもりなどなかったが、ネスターにはネスターの目論見があり、カリスタが拒絶してもしつこく言い寄ってくる。そんな場面に登場したのが、妹ユードラがカリスタのサロンの会員になっている人気作家のトレント・ヘイスティングズで・・・。


アマンダ・クイックお得意のロマンチック・サスペンスです。

主人公は若いうちに両親と死に別れ、弟を養うために婚期を逃した自立心旺盛な女性カリスタ。どうやら変質者に狙われているらしいが、何故自分が狙われているかは分からない。

一方で探偵が活躍するミステリィ小説で人気を博している作家トレントは、未婚の妹が会員になったサロンを探りに来てカリスタと知り合い、カリスタを狙う事件の存在を知ると、ミステリィ作家魂に火がつくと同時に、初めて会った時から何かを感じていたカリスタを守るため、犯人探しに協力するようになる。

アマンダ・クイックのロマンチック・サスペンスに良くあるパターンの小説なので、犯人も何となく見当が付いたし、カリスタとトレントとのロマンスも然程劇的なところがないので、平坦な印象の作品です。

ただアマンダ・クイックらしい安心感があるので、楽しめました。