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アマンダ・クイック「真夜中まで待って」の感想です。

アマンダ・クイック「真夜中まで待って」☆☆☆

真夜中まで待って

19世紀ロンドンの資産家の紳士アダムは、家族の秘密を記した日記をネタに恐喝されていた。

今でこそ上流階級の紳士となっているが、アダムは貧民街に生まれ育った。アダム自身は大して気にしていないものの、この秘密が漏れると貴族の妻となった妹がスキャンダルに巻き込まれてしまう。

アダムは日記を取り戻そうと恐喝者である霊媒師の家に忍び込んだが、そこで目にしたものは霊媒師の死体と彼女が最後に行った降霊会の参加者名簿だった。

事件の手がかりを求めて、アダムは参加者名簿に記されていた聞き覚えのある女性宅を訪問するが、そこは今巷で大評判の人気女流作家キャロラインの屋敷だった。

折しも新作の構想を練っていたキャロラインは、悪役となるエドマンド・ドレイクの人物描写に悩んでいたが、威圧的な訪問者アダムを一目見てモデルにピッタリだと感じ、アダムが訪れた事情を聞くなり、彼と協力して殺人事件の調査を進めると言い出す。

行動をともにするうちに、アダムとキャロラインは互いに強く惹かれあっていくが、キャロラインには裕福な上流階級の男性に手痛い目にあわされた過去があり・・・。


アマンダ・クイックらしい少し天然なヒロインの設定が楽しいミステリィ風味のヒストリカル・ロマンスです。

とりあえず殺人事件は起こるものの、全体的に明るくユーモラスなトーンが良いですね。

自分が人気作家の悪役のモデルだと知っているアダムに対して、キャロラインの連載小説を読んで夢中になっている知人の誰もが、悪役エドマンド・ドレイクの悲惨な最期を期待していると話し、それを聞くたびにアダムが複雑な気分になるところが笑えます。

あまり神経を使わずに素直に楽しめる明るいロマンチック・ミステリィで、スラスラ読めるし、管理人はこういう物語は好きです。