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アマンダ・クイック「雇われた婚約者」の感想です。

アマンダ・クイック「雇われた婚約者」☆☆☆

雇われた婚約者

イングランドの田園地帯で先祖伝来の農地を切り盛りしていた地主の娘エリノーラは、彼女名義の財産をろくでもない投資に使い込んで失敗した継父が急死したため、債権者に全ての財産を奪われ、無一文で屋敷から放り出されてしまう。

更に頼りにしていた婚約者は、エリノーラに財産がなくなった事を知ると、彼女を捨てて裕福な女性の元に走ってしまう。

何もかも失って失意に沈むエリノーラだったが、今まで負っていた責任やしがらみが全てなくなり自由の身になった事を前向きに考えて、ロンドンに出て裕福な年配女性の雇われ話し相手として暮らすことに・・・。

しかし独立心旺盛な彼女には我慢ならない紹介先も多く、紹介所でもっとマシな仕事が欲しいと苦情を述べている最中に出会ったのが冷徹な印象の伯爵アーサー。

かつて婚約者に駆け落ちされた時にも平然として、氷のような男と評されるアーサーは、敬愛する大叔父が何者かに殺害された事件を秘密裏に調べるためロンドンに滞在することにしていた。

しかし社交シーズンのロンドンでは、裕福な独身貴族のアーサーは結婚目当ての淑女たちの格好の標的になってしまい煩わしい。

そこで目眩ましの口実として、偽りの婚約者を必要としていた。

自分の婚約者を演じてくれる女性を探して紹介所を廻っていたアーサーは、自説を曲げない芯の強いエリノーラを見て、彼女こそ目的にピッタリの女性だと判断する。

「自分の婚約者になりすまして欲しい」と言う奇妙な申し入れに驚くエリノーラだったが、報酬の高さに惹かれてその仕事を請け負い、アーサーの婚約者を演じることを承諾する。

お互いにビジネスと割り切って始めた偽りの婚約だったが、二人で一緒の生活をするうちに、いつしか二人はお互い惹かれあって行く。


不運にも負けず前向きに生きていこうとする美しく勇気ある愉快な女性エリノーラが良いです。

しかしこんな素敵な女性が26歳になるまで結婚していない不思議は感じます。

アーサーは酸いも甘いも弁えた地位ある男性ですが、エリノーラの天然の行動に思わず魅せられていく辺りが可笑しい。

一応は殺人者を追うミステリィの形をとっていますが、その辺りは大した内容ではありません。

全体的に平穏無事に予定調和のハッピーエンドに向かうところが管理人は好きです。