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アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」の感想です。

アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」☆☆☆

そして誰もいなくなった

とある孤島にある一軒の屋敷に、年齢も職業も異なるお互い面識もない10人の男女が招待される。

招待主が姿を現さない晩餐会が始まり、その席上でどこからともなく流れてくる謎の声は、彼ら一人一人が過去に犯した罪を断罪していた。

悪い冗談かと唖然とする10人だったが、その直後に自動車事故で2人の子供を死なせたと非難された青年が毒物入りのウィスキーを飲んで殺害される。

この島は完全な孤島で、島内には招待を受けた彼ら以外には誰もいない。外部に連絡する手段も、島から脱出する手段もない。

そうした状況の中で、マザーグ-スの童謡「10人のインディアン」に合わせたかのような方法で、客たちは一人また一人と殺されていき、屋敷に置かれていた10体のインディアン人形が死んだ人間に呼応するように失われていく。

果たして犯人はどこに隠れているのか・・・。それとも客の中の一人が犯人なのか・・・。


永遠の名作ミステリィとされる作品の一つです。

姿を見せない犯人、理不尽な理由で殺されていく被害者たち、一人ずつ死んでいくことを示唆するような童謡、人が死ぬとともに減っていくインディアン人形。

トリックと犯人探しを行う知的なゲームのような本格ミステリィの要素が、雰囲気を盛り上げる不気味な舞台設定とともに、見事に凝縮されている作品です。

管理人が初めてこの作品を読んだのは、今から40年近く前のことですが、本当に10人全員が死んでしまってビックリしました。

どうなってんの?というところで明かされる種明かしも見事な構成で納得できるし、流石にミステリィの女王と呼ばれるクリスティの名作です。

本格推理小説を読みたいと言う人には外せない1冊だと思います。