篠田節子「女たちのジハード」☆☆☆
第117回(平成9年/1997年上半期)の直木賞受賞作です。
篠田節子の作品は凝った設定の作品が多いような印象があるけど、この作品はストレートなサラリーマン小説ならぬOL小説といった感じの作品です。
中堅保険会社に勤める5人のOL。
結婚願望が強く家事万端そつなくこなす美人だが、結婚は愛情よりも条件と考えているリサ。家事能力がゼロで若いだけがとりえで玉の輿に乗ったものの、結婚に失敗する紀子。有能なOLでありながら、男性社会の中で行き詰って会社を辞めざるをえなくなったみどり。美人だが男勝りのキャリア指向で、得意の英語で自立をめざす紗織。性格とスタイルは良いけど、器量が今ひとつで行き遅れになっている康子。
それぞれの女性達が、男性優位の社会の中で強く逞しく人生を切り開いていこうとする姿を描いていて、全体的に地に足の付いている設定がしっかりとしていて、主人公たちを応援したくなる作品です。
この作品の時代と今とでは随分と社会情勢が変わっていますが、この作品の中でしたたかに生きる女性たちのたくましさは、改めて女性は強いなぁと思わせてくれます。
それに比べて男たちの情けないことよ。やれやれ・・・。